トヨタの販売現場がライバル視! 新型MAZDA3の底知れぬ実力 (2/2ページ)

奇しくも同時期に改良される両モデル 市場の反応はいかに

 セールスマンいわく、「結果的にMAZDA3を選ぶお客さまが多い」とのこと。そこで事情通が「値引き条件が良いのか?」と聞くと、「あっちのほうが気に入った」という、クルマ自体にほれ込んでMAZDA3を選ぶケースが多いというのだ。

 MAZDA3が気になって新車購入の検討を始めるひとが、カローラ スポーツも見ておこうという動きを見せることについては、カローラ スポーツがトヨタ車のなかでは“こだわりのモデル”として見られているとも受け取ることができ、カローラ スポーツが健闘しているという見方もできる。

 カローラ スポーツだけでなく、最近のトヨタは“ややマツダ的”な趣味性も意識したモデルが増えているので、じわじわとその傾向が消費者にも浸透しているのかもしれない。

 そして、間もなくカローラ セダンとカローラ ツーリング(ワゴン)が日本デビューする。12代目となる次期カローラは日本国内において、セダンとステーションワゴンとして初めて3ナンバーサイズとなるモデル。

 すでに販売現場にはスタッフマニュアルが配布されているそう。ある関係者は「当初はインプレッサG4を意識して販売促進するようにとなっていたそうですが、MAZDA3ファストバックとカローラ スポーツとの比較購入検討が多いことから、販売現場ではMAZDA3セダンを意識したほうがいいのではないかとなってきているようです」と語る。

 また次期カローラ セダンとツーリングは、ハイブリッドは1.8リッターベース、ガソリンの1.2リッターはMTのみとなり、メインは1.8リッターとなるという。現行アクシオ&フィールダーがガソリンとハイブリッド両方とも1.5リッターを残して新旧併売となるが、次期型では1.3リッターはおろか、1.5リッターすら設定されないそうだ。

 一方のMAZDA3にはファストバックのみ1.5リッターエンジンがラインアップされている。MAZDA3セダンのガソリンは2リッターエンジンのみで、スカイアクティブXも設定される。さらにディーゼルも用意されている。カローラとMAZDA3の排気量差は200ccとなるが、2リッターと1.8リッターが販売に影響を与えるかどうかも非常に興味深いところである。

 国内での圧倒的な販売力を背景に次期カローラシリーズが販売面では有利とするのが現状だが、今回は両車3ナンバーサイズとなり同じ土俵に立っているので、その点でも今後の両車の販売動向は実に興味深いところである。

 ここで思い出すのは、“赤いファミリア”として有名な5代目ファミリア。80年6月にまずハッチバックがデビュー。それまでのFRからFFへ変更し、当時VWゴルフなどで注目されていた台形ボディを採用した5代目ファミリアの赤い3ドアハッチバックXGは、当時の若者の間で大人気となり5代目ファミリアを大ヒットに導いた。

 さらに80年9月にはセダンもデビューしている。今以上に販売力でトヨタとマツダの間では差があった当時、断トツでベストセラーカーとして君臨していたカローラを抑えての販売ナンバー1獲得はいまも伝説として語り継がれている。

 日本カー・オブ・ザ・イヤーをはじめ、世界各国で賞を受けるだけでなく、82年に3回、83年には計5回、単月での国内販売台数ナンバーワンとなり、販売面でも輝かしい実績を残している。

 カローラ スポーツも含めて、次世代カローラシリーズはMAZDA3にキャラクターが近くなっている。それもあるのか、カローラの販売現場ではそれまでマツダというメーカー自体も販売面では強く意識してこなかったのに、にわかにMAZDA3をかなり意識するようになっているようにも見える。

 果たしてMAZDA3は第2の赤いファミリアになるのか? それとも新型登場後3カ月ともいわれる、新型車需要期を過ぎればアクセラのようなマイペースになってしまうのか、販売面でも非常に注目すべきモデルだ。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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