トヨタの販売現場は混乱必至! 2020年に迫る全店舗全車種取り扱いに立ちはだかる壁 (2/3ページ)

単にクルマを売るのではなく付き合いが大切な車種も

 トヨタ系ディーラーのほとんどは、メーカーであるトヨタと直接の資本関係のない、各地の有力企業や実業家などがオーナーとなる“地場資本系ディーラー”というもので構成されている。そのため、トヨタが表立って陣頭指揮をとって販売拠点の統合・整理を行うことは難しい。

 そこでまずは全店舗全車種扱いを進め、トヨタ系ディーラー間で値引き競争を激化させて弱ったディーラーを力のあるトヨタ系ディーラーに吸収させる。あるいはメーカー直営化を進めて、地場資本ディーラーだけでなく、6000ともいわれる全国にある店舗のリストラを進めやすくしようとしているのではないかともいわれている。

 このような動きのなか、たとえばトヨタ店以外、扱い車種のラインアップが近いトヨペット店はまだしも、カローラやネッツ店でクラウンが急に扱えるようになっても手放しで喜べないといった話も聞く。

 クラウンはもともと店頭販売がメインのクルマではなく、長い間乗り継いでもらっている、企業経営者など管理顧客への代替え促進、そしてそのような顧客(お得意様)からの紹介によって、売り先の与信も担保しながら大切に販売してきたので、今のステータスを築いている。

 コンプライアンスの厳しい時代に、ふらっと店頭にきたお客に購入条件で納得してもらったので契約をもらったという売り方では、クラウンのようなステータスも高い高級セダンの場合、反社会的勢力へ販売してしまい、売り慣れていないがゆえに資金洗浄に手を貸してしまうということにもなりかねない。

 一定以上の高額車両などについては、口座振り込みを徹底するなど、“売り方の統一”も全店舗全車種扱いを進める上では必要があるのではなかろうか。セールスマン自らが、高額車両の取り扱いが増えたからとして、不正な新車販売に手を染める可能性も否定できない。

 慎重さに定評があり、“販売のトヨタ”ともいわれるほど販売現場を熟知しているトヨタなので、その辺りもしっかり対策を打って全店舗全車種扱いを進めるのだろう。そのため“余計なお世話”になるかもしれないが、消費者としてはやはり、販売現場が混乱しないか心配になってしまう。

 東京ではすでに販売チャンネルの統合と全店舗全車種扱いが実施され、好調に推移しているようだ。しかし、東京はかなりマーケットとしては特殊で、全国のベンチマークにはならない(メーカー直営ディーラーを統合している)。

 新車販売業界以外でも東京中心で物事を考えた結果、ほかの地域とのミスマッチが発生することは最近ではよくあること。トヨタも当然そのようなことは把握しているだろうから、東京の事例に頼りすぎることなく、全国展開するだろうから、これもおせっかいな話に是非終わってほしい。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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