ダイハツ・タント登場で戦国時代突入! ホンダN-BOX/スズキ・スペーシアとの使い勝手7番勝負 (2/2ページ)

タントの運転席ロングスライドは唯一無二の便利装備

4)室内スルー性

 新型タントは助手席ロングスライド(380mm)に加え、世界初の運転席ロングスライド機構(540mm)を新採用。ミラクルオープンドアによるスライドドア開口部の広さ(助手席最前端位置)と合わせ、画期的な乗車性を実現。たとえば、ミラクルオープンドアから子供を後席に乗せたあと、あらかじめ運転席を540mm後に下げておけば(安全のため、解除スイッチ操作が必要)、車外に、車道側に出ることなく、後席から運転席へと移動できるのである!(最小スルー幅190mm)

 これは、N-BOXの助手席ロングスライド機構でもできない技である。子育て世代にとっては、ライバルを圧倒する便利ポイントと言えるだろう。

 ちなみに、N-BOXの助手席ロングスライド機構は、あくまで子供の面倒を見る母親などが助手席に乗っている設定。であれば、ロングスライドさせて後席に近づき、後席に乗っている子供(やペット)のケアがしやすくなるというわけだ。

5)ラゲッジルームの使い勝手

 スーパーハイト系軽自動車は、後席にスライド機構があることからもわかるように、あくまで乗車空間最優先のパッケージングである。つまり、後席スライド位置が最後端位置だと、ラゲッジスペースの奥行きは最小限。実測の寸法では、タントが実質260mm(下位置485mm)、N-BOX330mm、スペーシア310mm。あくまで、後席最後端位置に限れば、N-BOXとスペーシアに余裕がある。

 が、2名乗車の時など、後席を前方スライドすると、タント実質460mm(フロア下部485mm)、N-BOX540mm、スペーシア510mmまで拡大可能だから、よほど大きな荷物でない限り、積載に特段、困ることはないだろう。

 そんなスーパーハイト系軽自動車のラゲッジスペースの使い勝手で差がつくのは、フロアの高さ。低ければ、2リットルペットボトル6本入りダンボール箱や灯油、天井の高さを生かして自転車(要後席格納)を積み込む際の持ち上げ量が少なくて済む。いずれも開口部に段差はないが、タント590mm、N-BOX480mm、スペーシア540mmと、比較ではN-BOXがもっとも低く、重い荷物の出し入れが容易となる。もっともタントの590mmでも、世界のステーションワゴンの平均値630mmより低いので、心配はいらない。

6)最大荷室時の使い勝手

 4名乗車時にはそれほど容量のない3車だが、後席を格納すれば、天井の高さを生かした広大なラゲッジスペースが出現。なかでもN-BOXは後席格納フロア地上高が590mmと圧倒的に低く(タント710mm、スペーシア650mm)、スライドドア側から重い荷物を積み込むときは便利。ちなみに後席格納時の拡大ラゲッジフロアの平たん度では、スペーシアがリードしている。

7)ポケッテリア

 スーパーハイト系軽自動車は室内空間のゆとりを生かし、随所に収納がある。なかでも、アウトホイールメーター採用のタントとN-BOXはステアリング奥にふたつきの収納があるのが便利。

 インホイールメーターのスペーシアはそうはいかない。助手席前にトレーがあると何かと便利だが、これがあるのもタントとN-BOX。スペーシアは全体が“スーツケース”をモチーフにしていて、助手席前にはトレーの代わりに、カッコいいふたつきの収納が備わる。ティッシュボックスを目立たないように置ける点では優位となるだろう。

 というわけで、各車の使い勝手は3車3様。自身の使い方と照らし合わせ、最善の1台を選んでいただきたい。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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