ラベリング制度で性能がわかる! 「雨に強い」タイヤは何がちがうのか? (2/2ページ)

タイヤに刻まれる「溝」が大切な要素

 ひとつは排水性。これはタイヤのシーランド比、つまり溝の部分と接地するブロックの部分の割合が大きく左右する。レーシングカーのスリックタイヤのようにシーランド比が0%だと、排水性はほとんど期待できない。

 一般道を走るなら、夏タイヤでもシーランド比は30~40%は必要。当然面積だけでなく、溝の深さも深ければ深いほどよく、デザイン的には、縦方向に太いストレートグルーブが多いほど排水性はいい。ハイドロプレーニングに強いか弱いかは、このトレッドパターン(溝)で決まってしまう。

 もうひとつは、タイヤのグリップ力。タイヤのゴムは熱の影響を受けやすく、性能を発揮しやすい温度域というのが決まっている。雨が降れば、タイヤの表面は冷えてしまうので、雨に強いタイヤは、低温に強い柔らかめなコンパウンドが必要。

 温度の影響を受けにくくするためにタイヤメーカーでは、コンパウンドにシリカなど配合しているが、そのシリカにも何十種類もあり、それをどうチョイスし、いかに均一に分散させるかは、メーカーの腕の見せ所で、企業秘密になっている。

 難しいのは、タイヤのグリップ力を上げると、必然的に転がり抵抗が増えるので、燃費面ではマイナスになるという点。そのため、前記の日本自動車タイヤ協会のラベリングでは、ウェット性能の評価とともに、転がり抵抗係数も5段階で表示して、転がり抵抗性能の等級がA以上で、ウェットグリップ性能の等級がa~dの範囲内にあるタイヤを「低燃費タイヤ」と定義している。

 さらに大事なことは空気圧。ウェット性能の高いタイヤを履いても空気圧が適正でなければ、性能は十分発揮されないので要注意。とくに耐ハイドロプレーニング性能は、空気圧の影響が大きく、空気圧の低いタイヤほどハイドロプレーニングになりやすいので、タイヤの空気圧は月に一度は調整すること。

 また当然のことながら、摩耗して残り溝が少なくなっているタイヤや、使用年数が長く、ゴムが硬化してきているタイヤはウェット性能もかなり低下しているので、溝の少ないタイヤや、4~5年以上使っているタイヤは、早め早めに交換しよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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