万能装備じゃない! あえて人気のスライドドア車を選ばないほうがいいケースとは (2/2ページ)

手動の場合高齢者や子どもが開閉できない場合も

 いまやスライドドア車の多くが電動開閉式を採用しているが、低グレードや商用車では手動タイプも少なくない。こうしたクルマのスライドドアを開閉すれば体感できるが、非電動のスライドドアというのは意外に開閉に力が必要だ。小さな子供であれば勢いあまって転んでしまうこともあるだろうし、体を挟んでケガをしてしまう心配もある。家族のためにスライドドア車を選ぶのであれば、可能な限り左右とも電動タイプとしておきたい。

 電動タイプになるとリモコンのスイッチや、ドアノブの操作などで簡単にドアを開けることができる。つまり、大人の目が届かないところで、子供が勝手にクルマに乗り込むことができる。そのまま車内で熱中症になってしまうといったアクシデントも起きている。スライドドア車に限った話ではないが、クルマのキーは子供が持ちだせないようにキチンと管理しておきたい。

 最後に、スライドドア車を選ぼうというユーザーが意識しておきたいのは、ヒンジドア車との価格差だ。ドアを含むボディ以外のメカニズムがほとんど共通の軽自動車で比較してみよう。たとえば、ホンダN-BOXの価格帯は1,385,640円~1,949,400円(FF)、それに対してN-WGNの価格帯は1,274,400円~1,663,200円(FF)となっている。装備差などもあるので単純比較は難しいが、「Custom G・L ターボ」という同じ名前のグレードで比較するとN-WGNが1,663,200円、N-BOXは1,895,400円と20万円以上も異なるのだ。予算的にこの差を許容できるのであれば問題ないが、スライドドアの上乗せ分はけっして小さくはない。

 さらにいうと、N-BOXのNAエンジンの「L」グレードが1,499,040円だが、同程度の予算感でいうとN-WGNであれば標準系の「Lターボ」グレードが1,501,200円となっている。用途によっては、スライドドアのNAエンジン車にする予算で、ヒンジドアのターボ車を選んだほうが満足できるケースもあるだろう。なお、N-BOXの「L」グレードでは右側のスライドドアは手動式で、電動開閉タイプはメーカーオプションとなっている。

 スライドドアのメリットは書ききれないほどあるが、デメリットがないわけではない。しっかりと用途と予算を考えて、選ぶようにしてほしい。

※参考価格は消費税8%のもの


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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