スカイラインの受注は1760台! N-WGNは2万台! そもそもクルマはどれぐらい売れれば成功なのか (2/2ページ)

そのクルマが成功かどうかは生産が終わるまでわからない

 また、最終的に儲かったかどうかは、その製品(モデル)が生産を終えたときに決まる。初期受注が好調であっても、新車効果が薄れて急激に売り上げを落とすようでは、やはり儲かるクルマとはいえないだろう。つまり、低価格によって商品魅力を高めることで初期受注を稼いだとしても、モデルライフ全体でみれば儲けの少ない商品になることもある。

 さらにいえば、開発コストにしても計算方法・考え方はメーカーによって異なる。たとえばプラットフォームやパワートレインなど多種多様なモデルで共有する開発コストについて、それぞれのモデルでどのように負担するかで、各モデルの採算分岐点が変わってくる。

 そうした基本部分の開発コストを主力モデルに負担させたとすれば、スキンチェンジ的な派生モデルの採算分岐点は大きく下がることになる。一方で、派生車種の展開を織り込んでいるケースもある。さらにいえば、その車両には直接かかわらない基礎技術や先進技術の開発費についても、最終的にはクルマという商品を売った儲けによって捻出している。バックオフィス部門のコストも含めて、会社としてすべてのコストが一台一台のクルマに乗っているといえるのだ。

 つまり、自動車という商品において「最低でも何台売らないと赤字になる」という普遍的な目安はない。同じ軽自動車であっても、月販1000台ペースで儲かるように考えられたものから、最低でも1万台は毎月売らないと失敗というクルマもある。とはいえ、少なくともメーカーが初期受注の好調をアピールする数字というのは、そのペースでいけば大儲けにつながる台数と判断する目安にはなる。もちろん、そのペースで売れ続けるということは、めったにないわけだが……。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

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