単にエコなクルマじゃない! 災害対策にEVやPHEVが有効なワケ (2/2ページ)

クルマが単なる移動手段ではなく生活を支える機能のひとつに

 PHEVは、EVよりバッテリー搭載量が少ないのと、充電されている電力を利用する場合は後付けのコネクターが必要になる。あるいは、100Vの電気を取り出せるコンセントが車内に設けられていれば、そこから家庭電化製品などの個別利用は可能だ。とはいえ、EVのような家全体(室内の電灯や冷蔵庫など)に電力を供給するのは難しい。

 PHEVの場合、限られた容量のバッテリーの電気を使い切っても、ガソリンが燃料タンクに残っていればエンジンを回して発電し、バッテリーに充電した電力を利用することはできる。同じことは、ハイブリッド車(HV)にもいえる。

 近年の気象状況の悪化からすると、電動化された車両を所有することで、停電による真っ暗闇という状況は回避することができるだろう。そして電源があることで、スマートフォンやテレビなど情報を入手する手段が生き延びられる。また、人工呼吸器など医療的な装置が必要な場合、それら機器を動かすことにも役立てられる。

 エンジン車は、基本的に駐車している間は何の役にも立てない。だが、電動化されたクルマであれば止まっているときも役立てられる。それは緊急時だけでなく、太陽光発電など再生可能エネルギーを自宅や事務所に設置している場合には、電力をクルマに貯めておくことで、系統電力への依存を減らすことによって経済的な利点を得られる場合もある。

 つまり、電動化すればクルマが単なる移動手段だけではなく、生活を支える機能の一つになるということだ。そこに、電動車両を所有する意味も生まれる。シェアリングビジネスが広がりを見せるなか、クルマを所有する意味が失われがちだが、こう考えると所有の価値も新たに見えてくるのではないか。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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