「N-BOX・タント・スペーシア」売れに売れてるスーパーハイト軽自動車は万能選手じゃない! 5つのデメリットとは (2/2ページ)

ヒンジドアタイプに比べて購入価格も修理費もかさむ傾向に

3)立体駐車場の入庫容易性

 軽自動車は車体の小ささや小回り性の良さによって、走りやすく、駐車しやすいメリットがある。ただし、スーパーハイト軽自動車は全高が1755~1800mmもあり、車幅は狭くても、全高制限によって立体駐車場(多くは1550mmまで)の入庫は不可。ハイト軽ワゴンも同様だが、もし、自宅の駐車場が高さ制限のある立体式で、買い物などで立体式駐車場をよく利用するというなら、軽自動車でも全高1550mm以下のセダンタイプを選ぶしかない。駐車の自由度という意味では、デメリットになるわけだ。

4)大開口スライドドアのキシミ&ガタつき

 さらに、両側スライドドアゆえのデメリットも少なからずある。それは径年変化による大開口スライドドアまわりからのキシミ音、ガタつきの発生である。数年ぐらいでは気にならないレベルだが、年数や距離を重ねるうちに、走行環境にもよるがヒンジ式ドアではあまり起きないような問題が発生する可能性がある。ただしこれは、ミニバンを含む全スライドドア車に言えることでもあり、パワースライドドアの場合、修理費がかさむことも覚えておきたい。

5)価格

 そして最後は価格。N-BOXとN-WGNを例に挙げると、ハイト軽ワゴンとスーパーハイト軽で比較しても、先進運転支援機能がより充実したN-WGN GホンダセンシングFFが129万8000円のところ、N-BOX GホンダセンシングFFは141万11300円と、同等グレードでも11万3300円高くなる。もちろん、頭上個空間の余裕や両側スライドドアのメリットを受け入れれば、法外に高いわけではないが、事実上、10万円以上の差があることはたしかだ。

 もっとも、そんなデメリットがあるにもかかわらず、N-BOXやスペーシア、タントは売れに売れている。そもそも横風の強い日は速度を落とせばそれほど問題ではなく、燃費性能にしてもハイト軽ワゴンと比較して多少悪い程度。登録車のコンパクトカークラスを基準にすれば、スーパーハイト軽自動車でも文句なしの好燃費であることは間違いない。全高の高さによる立体駐車場の入庫容易性にしても、立体駐車場などほとんど利用しない人には関係なし。大開口スライドドアまわりからのトラブルも、乗り方や所有年数によってはこれまた気にならないデメリットとなりうる。

 さすがに価格だけは絶対的なものだから、車両本体価格の予算130万円ならN-BOXはあきらめるしかないが、スーパーハイト軽自動車には、子育て世代など、使い方によって、ハイト系ワゴンのN-WGNに対する価格UPに見合うメリットがあることも事実。だからこそ、2019年9月の軽自動車販売台数で1位 N-BOX、2位タント、4位スペーシア(3位はハイト系ワゴンのデイズ)と、ベスト4のうち、3台をスーパーハイト軽自動車が占めているのである。しかも前年同月比で約110~130%増というのだから、多少のデメリットがあったとしても、その勢いは止められそうにない。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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