クルマは世界的に電動化の流れ! にもかかわらずスバル・インプレッサからハイブリッドが消えたワケ (2/2ページ)

インプレッサはFFを用意するなど別のニーズに応えている

 まず、ひとつヒントとしてXVのマイナーチェンジ前後による価格の変化を税抜き価格で並べてみよう。マイナーチェンジ前のスポーティグレード「2.0i-S EyeSight」の税抜き価格は250万円、対してマイナーチェンジ後の「2.0e-S EyeSight」のそれは261万円となっている。先進運転支援システムである「アイサイトツーリングアシスト」を標準装備するなど全体として進化しているので、価格アップの要因をハイブリッドだけに求めることはできないが、非ハイブリッドである1.6リッターグレードの価格から想像するに、ハイブリッドによる価格アップ幅は9万円相当といえる。

 すなわち、インプレッサにe-BOXERを搭載した場合も同様の価格アップになると予想される。現状、インプレッサの価格帯は182万円~246万円(税抜き価格)となっている。この価格帯で一律10万円以上のアップというのは競争力の面で影響がないとはいえない。

 インプレッサはSUBARUのラインアップでは数少ないFWDを設定しているモデルだ。ブランドアイデンティティであり、コアテクノロジーといえる「シンメトリカルAWD」ではないグレードを用意しているのは、価格競争力を含めたユーザーニーズに応えるためであり、価格上昇につながることが明確なハイブリッドを設定するのは商品企画として考えづらい。

 また、SUBARU XVについていえば、ルーフレールを装着しなければ全高は1550mmに収まる。ハイブリッドに付加価値を求めるユーザーには、XVで十分にカバーできると考えられる。むしろ、2リッターエンジン車でいえば、コンベンショナルなエンジンを求めるユーザーはインプレッサ、e-BOXER(ハイブリッド)を欲しいユーザーはXVを選べばいいとわかりやすいカタチになっている。

 e-BOXERは燃費の改善効果というよりもモーターアシストによるリニアリティやトルク感、スムースネスといった運転感覚におけるアドバンテージのほうが大きいハイブリッドシステムだ。インプレッサにハイブリッドを復活させるのであれば、もっと燃費寄りのシステムであるほうがふさわしいだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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