【試乗】ルノー・メガーヌR.S.トロフィーがサーキットでみせた「超絶な速さ」と「驚異のしなやかさ」 (1/2ページ)

ベースのメガーヌR.S.を21馬力&30N・m上まわるエンジン

「7分40秒1」。

 世界一の過激なテストコースとされているニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで、「メガーヌR.S.トロフィ」が叩き出した記録をみて、腰を抜かしかけた。1.8リッターターボエンジンを積むFFモデルとしては驚異的なタイムだったからだ。このクラスの世界最速記録である。

 そんな情報を耳にしたわけだから、今回の筑波サーキットでの試乗を前に、ただならぬ興奮に包まれたのも想像していただけるだろう。

 ニュルブルクリンクで最速タイムを記録するには、限りなくレーシングカーに近い仕様なのだろうと予想した。マシンを過激にチューニングし、公道での立ち居振る舞いを犠牲にしたからこその記録なのだろうと想像したのは自然である。

 試乗を前にした技術説明でも、過激な文言が並ぶ。

 搭載するエンジンは、ベースとなったメガーヌR.S.よりも最高出力で+21馬力、最大トルクで+30N・mの増強だという。ターボはアクセルレスポンスを求めて、セラミックに改めた。スプリングレートは、フロント23%の剛性アップなのに対してリヤは35%まで引き上げているという。フロントデフはトルセンである。アンダーステアを徹底的に減らすために、さまざまなセッティング変更にトライしたことが伺える。

 しかも、「4コントロール」というリヤステアが組み込まれている。低速域では、後輪が前輪と逆に切り込む。これによって、フォークリフトのように切れ味よく俊敏なステップを踏むことになる。一方高速では、前輪と同じ向きに位相することで安定感を確保するというわけだ。驚きは、その位相同相の反転速度域が、レースモードでは100km/hという高速域からだという。つまり、筑波サーキットの様な比較的タイトなコーナーでは、逆位相で旋回することが少なくない。テールを積極的に流しながらの走りを想像したわけだ。


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