ドライなアメリカ人と浪花節の日本人? お国柄クッキリの新車ディーラーマンの「愛車」事情 (1/2ページ)

日本では自分が取り扱っているクルマに乗るのが当たり前

 日本の新車ディーラー、とくに日系ブランドでは、セールスマンの個人所有車は自分の店で取り扱っている車種に乗るのが当たり前になっている。ディーラーによって異なるが、“社員購入割引制度”などと呼ばれるものを利用しての割安購入や、任意保険料の一部負担など、ディーラーが購入補助や維持費の一部負担をしているケースがほとんどだ。

 このような“特典”の手厚いディーラーのセールスマンに話を聞くと、「購入時や維持費の負担が軽くなるのは魅力的ですが、車両への改造はおろか私物の搭載も制限されています。必要に応じてお客様にサンプルとしてお見せする機会もあるため、会社はいろいろ負担しているのです」と話してくれた。

 過去には、月末になりどうしても販売ノルマが足りないときなどには、セールスマンの車両を有無も言わさず新車へ代替えさせたという話も聞いたことがある。ただ、実際は自分の取り扱う新車に乗るセールスマンは少なく、自分が売ったクルマに数年乗っている客の愛車のなかで、程度の良いものを新車へ代替えさせて下取り車として入れさせ、自分で買い取って乗るといったセールスマンが多かった。その当時はまだまだ新車販売の世界も“職人気質”のようなものが強く「新車を見せなきゃ売れないようでは半人前(セールスマンの人柄で売れという意味らしい)」などとも言われていたそうだ。

 年式の新しい、古いはあるものの、過去には自分の会社が扱っているクルマに乗り、客の家へ商談に出かけて契約を取ってくるスタイルが主流であった。そのときに客は乗ってきたクルマを見る機会があるだろうし、いまでも「ところでセールスさんの乗っているクルマはなんですか」などと商談中に聞かれることもあるようだ。そこで、たとえばトヨタディーラーのセールスマンが「ホンダに乗っています」では、少々間の悪い話になってしまうだろう。日本では消費者の間でも「自分の売っているクルマに乗るのは当然のこと」という認識が根強く残っているといってよいだろう。

 “自分の好きな新車を割安で購入できる”こともメリットとして新車販売の世界に足を踏み入れるひとも多く、日本では新車セールスマンは「自分が売っているクルマに乗る」というのが半ば当たり前となっているが、海の向こうのアメリカでは少々話が異なる。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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