ドライなアメリカ人と浪花節の日本人? お国柄クッキリの新車ディーラーマンの「愛車」事情 (2/2ページ)

アメリカでは仕事とプライベートは別と割り切る!

 南カリフォルニアのある高級ブランドディーラーへ取材に行ったときに、そこの責任者であるゼネラルマネージャーが敷地内を案内してくれた。屋上駐車場にきたときに「見てくれ」とゼネラルマネージャーがピカピカのBMW7シリーズ(ライバル車)を指さした。「ライバル車から代替えさせたのかな」と思っていたら、「最近購入した私のクルマだよ」と自慢げに話してくれたので驚いた。

 あとで同じ店のセールスマンに話を聞くと「ウチの店ではメーカーと弊社からそれぞれ購入補助が出ており、比較的サイズの小さいモデル(それでも結構高い)ならば、月々のリース料金はそれで相殺できます。つまり、維持費などは別ですがタダで乗ることができるぐらい社員購入制度は充実しています。しかし、セールスマンのなかで自分が売っているクルマに乗っているひとはいません。売るクルマはあくまで商品であって、愛車は自分の好きなクルマに乗りますよ」と語ってくれた。ちなみにそのセールスマンは当時ホンダに乗っていた。

 取材を終えディーラーを去ろうと前出のセールスマンと駐車場に行くと、受付をしていたお姉様がそのディーラーで扱う車種のなかでは比較的小さいDセグメントサイズのクーペを颯爽と操り帰路についていた。セールスマンいわく「彼女は会社負担で乗っています」とのことであった。

 日本では、取り扱い車種に乗るのが大原則である。ただ、これは通勤や営業活動などで使うクルマに限った話ともいえる。通勤や営業活動で使わず、完全に私用で乗るならば、それについてディーラーはなんら干渉しない(できない)。そのため、セールスマンのなかには扱い車種のなかで手ごろな車種を通勤用に所有し、オフの時の専用車として、取り扱い車種にはとらわれずに自分の好きなクルマを所有するセールスマンもいると聞くが、そこまでヒソヒソとしないと好きなクルマに乗ることはできないのが現状。

 “仕事とプライベートは別”というのがあるが、そこを割り切れるアメリカとなかなか割り切れない日本の社会との違いを垣間見た瞬間であった。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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