燃費だけじゃない! じつは凄いハイブリッドカーの知られざるメリットとは (2/2ページ)

ハイブリッドは走りや使い勝手の良さ、便利さも兼ね備える

 もちろん、トヨタの2モーターのストロングハイブリッド車などは、モーターだけでも走ることができ、全般的に静かでスムースな走行になる。強制的にEV走行ができるEVモードスイッチがあれば、たとえば深夜に帰宅する際、手前でバッテリーを十分にチャージしておいて(チャージモード付のハイブリッド車もある)、家の近くでEVモードにセットすれば、静かにスルスルと、近所迷惑にならずに、自宅駐車場にたどり着けたりするのである。

 細かい点では、メーターやシフターに未来感があったりするのはもちろん、ハイブリッド車はインバーターエアコンの採用がほとんどで、信号待ちの一時停止時でもエアコンの冷風が途切れることはなく(スズキのエコクールのように、ガソリン車でも蓄冷式エアコンを採用していれば、一定時間、冷風が持続する)、夏のドライブでの快適さに大きく影響するのである。

 また、一時停止から発進する際の、アイドリングストップからの復帰時のブルンという音や振動も、ガソリン車にくらべ、皆無に近かったりする。少し走っては止まり、またすぐに発進するような渋滞時にもこれは大きなメリットとなる。

 また、瞬時に発揮されるモータートルクは、アクセルオフからの再加速性能の良さにも直結する。モータートルクの大きいEVやPHVがより顕著ではあるものの、ハイブリッドでも、たとえばACC(アダプティブクルーズコントロール)付きであれば、自動減速からの再加速性能が高まる理屈だ。ガソリン車でモタつくような場面でも、一段とスムースかつ力強く再加速してくれるのである。

 ガソリン車にない決定的な装備として注目してほしいのが、多くの2モーターハイブリッド車に用意されるAC100V/1500Wコンセントの存在だ。車内外で1500Wまでの家電品が使え、アウトドアではもちろん、災害時にも絶大なる威力を発揮。トヨタ車のように、給電機能のあるハイブリッドカーもあり、家庭内に電気を供給することさえできるのだから、イザというとき、頼りになる。

 東日本大震災の直後、トヨタが全国のエスティマなどのハイブリッド車を東北に集結させ、AC100V/1500Wコンセントからの給電によって、停電したエリアの暗闇に明かりを灯したという、今でも語り続けられるエピソードもある。

 ガソリン車に対するハイブリッドカーの価格上昇は、主に高価なバッテリーによるものだが、燃費だけではない、そうした税制の優遇、走りや使い勝手の良さ、便利さを知れば、おおいに納得できるのではないだろうか。この先、電動車があたりまえの時代になれば、ハイブリッドカーは一般的なガソリン車よりも下取り額、買い取り額でがぜん、有利になるとも予想できるのだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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