開発陣が語る! チーム一丸で徹底的にこだわり抜いたトヨタ・グランエース誕生秘話 (1/3ページ)

開発陣が語る! チーム一丸で徹底的にこだわり抜いたトヨタ・グランエース誕生秘話

3人以上のVIPが快適に移動できる送迎車がなかった

 国内の高級ミニバンと言われたとき、多くの方が真っ先に思い浮かべるのはトヨタのアルファード、そしてヴェルファイアではないだろうか。豪華なデザインとゆとりのある後席空間は、企業や海外から招いたVIPなどの送迎用としても人気が高い。

 けれど、そんな使用環境で悩みとなるのが、3人以上のVIPを乗せるときのこと。サードシートはほかのミニバンと比べて豪華ではあるものの、アルファード&ヴェルファイアのセカンドシートと比較すると、「あともう少しだけ」という欲が出てくる。送迎する側の立場からすれば、2列目と3列目でヒエラルキーが生まれてしまうのも好ましいことではない。近年では、国が海外からの観光客誘致を積極的に推し進め、2021年には東京オリンピックを控えていることもあり、そんな悩みに直面する場面は今後ますます増えていくだろう。

 新型グランエースは、まさにそうした悩みを真正面から解決してしまうクルマと言える。新型グランエースの開発責任者を務めた石川拓生さんも、そこにこのクルマの狙いがあると語る。

「その需要はもちろん海外でも同様にあります。けれど、やはりその用途にふさわしいクルマがないんです。ある国ではハイエースを現地のローカルメーカーが改造して、それを送迎用のワゴンとして使っている場面が多く、そうしたケースは年々増えています。それらは、もちろん一定以上の安全性を確保した改造がなされてはいますが、われわれメーカーとしては、きちんと安全なシートやベルトを付けたクルマを提供したい。と同時に、日本国内には、需要があるのにそれにふさわしい上級送迎車がないという事情もある。その2点が、新型グランエースを開発した背景になっています」

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 新型グランエースは、海外で発売されている新型ハイエースと一部の構造を共有しつつも、乗用ユースに対応するため専用設計としており、グランエースとハイエースはまったくの別車種という考えだ。実際、日本国内では今後も現行ハイエースが継続して販売されることが決まっている。そのあたりの事情についても石川さんにうかがった。

「ハイエースの使われ方は、海外と日本とではまったく違うんです。海外では人を運ぶことがほとんど。対して日本は、モノを運ぶことが中心です。そのため、ボンネットを持つセミキャブタイプのクルマよりも、より多くのモノが積めるワンボックスのほうが適しています。また、4ナンバー(小型貨物)サイズが用意されていることも日本では不可欠です。これらの点が高く評価され、『働くクルマ』として圧倒的なご支持をいただいているハイエースを日本からなくすわけにはいきません」

「けれどそれらのメリットは、上級送迎車を開発するうえではむしろ足かせになります。そこで白羽の矢が立ったのが、海外の新型ハイエースです。日本の上級送迎車を開発するのに、もっとも適したベース車が海外のハイエースだったというわけです」

 2ボックスタイプのボディであれば、エンジンと居住空間が隔壁で仕切られるため、より高い静粛性といった、さらなる快適性が期待できる。加えて、4ナンバーサイズの制約から解放された大型のボディは、2列目と3列目に同等の価値を持つ豪華なシートを設けることも可能になる。

 こうしたことを理由に、日本国内では、ハイエースは現行型を継続販売、それとは別に上級送迎車として新たなモデル「グランエース」を誕生させたというわけだ。

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