なぜSUVじゃない? いまキャンプ場が軽自動車で賑わうワケ (2/2ページ)

軽自動車もキャンプや車中泊用のアクセサリーが豊富!

 その点、ダイハツ版ハスラー!? ともいえる、6月発売予定のダイハツ・タフトも、ハスラー同様にキャンプ向きの大容量空間、フラットシートアレンジを備えた、キャンプ、車中泊用のアクセサリーも揃う軽自動車であると推測できる(最低地上高に余裕があれば)。一方、車内での就寝のしやすさという点ではダイハツ・ウェイクでも良さそうだが、最低地上高はFF、4WDを問わず、一般的な乗用軽と変わらない140mmなので、万一の場合にはちょっと役不足になる可能性がある(ハスラーの180mmと比較して)。

 付け加えれば、ハスラーのターボモデルなら、キャンプ場への長距離ドライブ、高速走行も、下手なコンパクトカーより楽々快適。動力性能にゆとりがあるだけでなく、全車速対応のACC(アダプティブクルーズコントロール)まで標準装備されているのだから。

 が、キャンプ目的にクルマを探しているが、軽自動車はちょっと……というなら、スズキ・クロスビーがねらい目だ。マイルドハイブリッド機構を採用した1リッターターボエンジンを積み、動力性能の余裕は明らか。しかも、スズキのクルマの特徴として、小型乗用車の5ナンバーサイズでも、全幅の規格1695mmギリギリまで使わず、クロスビーの場合は全幅を1670mmに抑えたナローボディを好んで採用しているからである。これは、キャンプ場に至る狭い道での走りやすさに直結するではないか。

 もちろん、クロスオーバーモデルゆえ、最低地上高は180mmを確保。4WDであればハスラー同様の走破性にかかわる”安心安全”機能も満載だ。

 とはいえ、わが家のキャンプは子供を含めた家族参加型。持っていく荷物も、より快適で楽しいなキャンプライフのために大荷物となる!! と宣言するキャンプ愛好家もいるはずである。

 そんな人に絶対的1台と言えるのが、三菱自動車主催のキャンプイベントで、キャンプ経験豊富なファミリーの定番車種と言える、三菱デリカD:5。本格SUVのアウトランダーをベースにした3列シートミニバンであり、テレビコマーシャルフィルムでも、アウトランダーに積めない荷物を満載できる……と暗にPRしているように、3列目席を格納すれば、アウトランダーの荷室に入り切れない荷物も余裕で積めるのだ。

 具体的には3列目席格納時の荷室スペースは、奥行約1200mm、幅約890~1250mm、天井高約1135mmにもなり、フロア地上高がワゴン並みの約620mmと、重い荷物の出し入れも楽々なのである(SUVの荷室開口部地上高は700mm前後)。

 加えて、デリカD:5のボディ幅は1795mmと、たとえば世界基準のコンパクトカー、フォルクスワーゲン・ゴルフの1800mmと同等。三菱エクリプスクロスが1805mmという、ワイドな車幅が当たり前の時代に(デビューが2007年ということもあって)、大きく見えても、実は車幅が広すぎない、本格的な走破性さえ備える、実にキャンプ向き大容量ミニバンなのである。

 こうしてハスラーやタフト(予想)、クロスビー、デリカD:5などのキャンプに向くクルマたちの存在を知れば、キャンプ向きのクルマ=絶対的にSUV……という考え方が100%正しくないことが分かるはず。実際、キャンプ場には、ハスラーのようなアウトドア向きの軽自動車も数多く見られ、「今日は何色のハスラーを見ましたか?」のハスラーに代表される、軽自動車ならではのカラフルさある、あるいは、自然にマッチするアースカラーのボディが、キャンプシーンを鮮やかに彩ってくれているのである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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