かつて高級車にこぞって付けられた「ボンネットマスコット」が減ったワケ (1/2ページ)

もとはフロントグリルに装着するものだった

 1980年代には、多くの国産車でも見かけたフードマスコットを最近はほぼ見かけなくなった。そもそもフードマスコットとは、ボンネット先端についているものではなく、戦前のクルマではラジエーターを覆う金属グリルのトップ部分に付けられていた。

 というよりも、もともとはラジエーターキャップの上につけて、冷却水の温度上昇を知って暖機の目安にするためという機能的な意味もあったという。つまり、ボンネットではなく、フロントグリルに装着するものだった。その点でいえば、ロールスロイスに見られる処理が本来は正しい装着場所といえる。

 フードマスコットにはコーナーポールのようにノーズ先端位置の把握を容易にするためという機能的な目的もある。現在でもメルセデス・ベンツSクラスにはボンネット先端に同社のエンブレムであるスリーポインテッドスターのフードマスコットを確認できるが、ドライバーから見たときのフードマスコットが白線に重なるように走ることで、車線の中央を維持する目安となったりもする。

 そうした機能から生まれたフードマスコットは、ロールスロイスやメルセデスが採用しているというイメージから高級車に欠かせないアイテムとして認識されるようになり、一時は国産車でも見かけるアイテムだった。いまでも光岡ガリューに装着されているほか、ドレスアップアイテムとしてもサードパーティ製のアイテムを見かけることがある。

 とはいえ、国産車、輸入車ともフードマスコット装着車は減っている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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