「GT-Rニスモ」や「WRX STI」も採用! クルマ好きが崇める「カーボンパーツ」の凄さ (2/2ページ)

ドライカーボンだけでなくウエットカーボンも使用される

 もっとも、ルーフのように応力のかかる部分は別として、ボンネットやフェンダー、ドア、トランクなどのあまり応力のかからない部位のパーツなら、高価なDCC(ドライ・カーボン・コンポジット)ではなく、FRPと同じく、主にポリエステル樹脂を使った安価なカーボン素材、PCC(ポリエステル・カーボン・コンポジット)、いわゆるウエット・カーボンでも軽量化が可能。

 FRPが、ポリエステル樹脂をガラス繊維で強化したのに対し、ウェットカーボン(PCC)は、DCCには劣るにせよ、ガラス繊維を使わずカーボン繊維でポリエステル樹脂を強化しているので、FRPよりも大幅に高い強度を得ることができる。

 社外のエアロパーツやドレスアップパーツなどで「カーボン製」といった場合、ウェット・カーボンが大半だと思っていい。

 そのほか、CFRPには、

・振動減衰性が良い

・寸法安定性が良い

・疲労特性に優れる

・熱伝導率が高い

・錆びない

・電磁波遮蔽性がある

・X線の透過率が高い

 といった長所もある。

 一方でカーボン製品には、コスト以外に、リサイクルに不向きという欠点もあったが、近年、エポキシ系樹脂の代わりに、ポリアミド(PA)やポリプロピレン(PP)などの熱可塑性樹脂に変えた熱可塑性CFRPの開発にも注目が集まってきている。

 熱可塑性CFRPは樹脂の価格が安く、生産性が高いのが特徴。リサイクルも可能だが、現状では寸法精度が課題らしい。

 ちなみにカーボンファイバーは、日本人が発明した製品で、東レ、帝人、三菱レイヨン(現三菱ケミカル)が、世界の3大炭素繊維メーカーといわれている。

 このように、ひとことにカーボンパーツといっても、成形方法ごとにいろいろなタイプがあるのだが、自動車用部品としてはまだまだ発展の余地があり、これからますます重要度が増していくマテリアルだといえるだろう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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