爆売れするにはワケがある! ミニバン・軽・SUVなど各ジャンル「1位」のクルマ5台の「唯一無二」っぷり (2/2ページ)

コンパクトさや視覚的なバランスの良いモデルに人気が集まる

3)トヨタ・シエンタ

 ミニバンで登録台数のもっとも多い車種はシエンタだ。唯一無二の特徴は、全高を1700mm以下に抑えながら、これを超えるフリードやヴォクシー系3姉妹車などに負けない空間効率を実現させたことにある。

 秘訣は先代シエンタで開発された薄型燃料タンクだ。3列目に座っても床と座面の間隔が十分に確保されて膝が持ち上がらず、着座姿勢に無理が生じない。3列目は2列目の下に格納できるから、荷室に変更した時の積載容量も大きい。全長と全高の視覚的なバランスも良いために人気を得た。

 ちなみに先代シエンタが薄型燃料タンクを開発したのは、燃料タンクを前席の下に搭載して車内の後部を広げたホンダ・モビリオに対抗するためだった。ところがモビリオがフリードに変わると、燃料タンクを普通の配置に変更してしまった。

4)トヨタ・ライズ

 SUVは海外市場に重点を置いて開発され、大半が全幅のワイドな3ナンバー車になる。しかしライズは5ナンバーサイズに抑えて、全長も4m以下だから運転しやすい。

 しかも後席や荷室は、広くはないが最小限度の容量が確保され、ファミリーカーとしても使える。コンパクトなサイズと実用性の両立が唯一無二の特徴だ。

 また最近は、トヨタC-HRやマツダCX-30など、外観を乗用車感覚で仕上げたシティ派SUVが膨大に増えた。その一方で野性味を感じさせる車種は減っている。そこでSUVの原点回帰が見られ始め、前輪駆動ベースでもオフロードSUV風のトヨタRAV4が売れ行きを伸ばした。ライズの外観もオフロードSUV風で、これも人気の要因となっている。

5)トヨタ・カローラツーリング

 ステーションワゴンはかつて堅調に売れるジャンルだったが、日本ではミニバンに人気を奪われ、北米ではSUVに押された。欧州だけは日常的に高速走行の機会が多く、高重心の車種を好まない傾向が強いため、ワゴンも相応に用意されるが最近はSUVも増えた。

 このような事情により、今の国産ワゴンは少数派だ。この中で堅調に売れているのはカローラツーリングになる。唯一無二の価値は、全長が4500mm以下のコンパクトなサイズで、ワゴンらしいスマートな外観と優れた走行性能を備えること。

 コンパクトワゴンにはシャトルもあるが、荷室を重視したから全高も1500mmを上まわり、積載容量は大きいがスマートな印象は乏しい。カローラツーリングは、全幅が少しワイドで3ナンバーサイズになるものの、運転しやすいサイズとワゴンの価値を両立させて人気を得た。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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