危険な「横転」は意外にも「単独事故」で多かった! その発生原因とは (2/2ページ)

重心が高いクルマや背の高いクルマほど横転しやすい

 一方、車両相互事故の横転は、側突が29%、前突が9%、後突が4%といった具合だ。気になる車両種別の横転発生状況も見てみよう。

 単独事故では、大型貨物、SUV、軽自動車(乗用車)がトップ3で、それに僅差で普通貨物が続く。ところが相互事故では、SUV、ミニバン&1BOX、軽貨物がトップ3で、軽乗用車が4番目。車種別で少ないのは、やはりスポーツカー。セダンも少ない。

 物理的に考えれば、支持基底面から重心がはみ出せば物体は倒れるわけで、重心が高いクルマ、背の高いクルマほど小さな力で横転しやすく、スポーツカーのようにホイールベース・トレッド比が小さく、重心が低い、ペッタンコのクルマは横転しにくい。

 また、ボディ側面の面積が大きいクルマは、横風の影響も大きく受けるし、過積載や荷崩れ、タイヤバーストなどがきっかけで車両が不安定になり横転する事故も報告されているので、メンテナンスや荷物の積み方は非常に重要。

 横転事故は、見た目も派手だが、乗員へのダメージも大きな事故になりがち。とくにシートベルトが非着用だと、車外に放出される可能性が13%もあり(シートベルトを着用していれば1%)、車両が横転した場合、シートベルト非着用者の死亡率は着用者に比べて6倍になることもわかっている。

 当然、速度も大きく関わっていて、単独事故・車両相互事故ともに、衝突直前速度が高いと横転の発生率も高く、とくに単独の横転事故の25%は高速道路で発生している。

 まとめると、車両単独事故の1/5、車両相互事故の1/15が横転事故に発展していて、横転事故は意外に身近な事故であることがわかってきた。

 横転しやすいからといって車種を変えることはできないだろうが、愛車の特性をよく理解し、無理せず急ハンドルなどを避けること。また風の強い日は十分速度を落とし、走行するのを控え、風が強すぎるときは安全なところに退避するのも重要。そして、万が一の横転に備え、乗員全員がシートベルトを着用することも忘れずに。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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