エンジンの名機は多数! F1にも参戦! 「ヤマハ」はなぜ「4輪市販車」を作らないのか? (2/2ページ)

四輪事業で本格的な利益を生み出すのは難しいと判断

 2013年〜2017年まで3回連続で東京モーターショーに四輪のコンセプトカーを展示して、四輪事業への本格参入をアピールしていたことも記憶に新しい。2013年はかの有名なゴードン・マーレイ氏がデザインに関わった、「iStream」コンセプトに則った小型コミューター「MOTIV」を展示。

 2015年は、さらに進んで同コンセプトから生み出された2シータースポーツカー「SPORT RIDE CONCEPT」を展示した。

 そして2017年にはアウトドアレジャーにぴったりなピックアップモデル「CROSS HUB CONCEPT」を発表している。かなり本気で四輪車の市販化に向けて試行錯誤をしていたことは間違いない。

 しかし残念ながら、ヤマ発の四輪車プロジェクトは、2018年12月に凍結が発表された。その理由は「投資に見合うリターンが見込めない」という、至極まっとうなものだったが、たしかに四輪車を開発することと、生産設備を導入することや販売ネットワークを構築することでは投資額の桁が異なることは明らか。身の丈にあったビジネス領域にリソース集中することは正しい判断ともいえる。

 というわけで、ヤマ発の四輪への挑戦は終わったわけだが、完全に四輪車を作っていないわけではない。もともとの事業としてATVやゴルフカート・ランドカーといったドアを持たないような簡易な四輪車は市販しており、そうしたハードウェアを利用して自動運転車や燃料電池車のプロトタイプを公道で走らせる実証実験は続けていたりする。

 ラストワンマイルと呼ばれる領域をカバーする、超近距離ユースのモビリティのニーズは高まると予想されているが、将来的にはヤマ発の四輪車をそうしたシーンで見かけることになるかもしれない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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