軽自動車の「好調」が原因のひとつ! 「ホンダ」と「日産」を足しても「トヨタ」に歯が立たないワケ (2/2ページ)

トヨタも少しずつ販売台数が減少している

 2020年1〜7月における小型/普通車の登録台数(速報値)を見ると、1位のトヨタは79万3153台、2位のホンダは17万6603台、3位の日産は16万797台になる。ホンダと日産を合計しても、トヨタの43%だから圧倒的に強い。

 そして最近の軽自動車が高価格になったといっても、小型/普通車の平均に比べれば安い。ホンダや日産のように、軽自動車を多く売って小型/普通車が減ると、クルマの販売に基づく粗利まで減ってしまう。

 商品の周到な開発もトヨタの強みだ。新型車はおおむね定期的に投入され、ホンダや日産のように「次に乗るクルマがない」と顧客を困らせることは少ない。トヨタは堅実に販売しているから店舗数も多く、国内に約4600箇所を展開する。ホンダの2160箇所、日産の2100箇所に比べると販売網は2倍以上だ。

 以上のようにトヨタは盤石に思えるが、じつは陰りも見え始めている。1990年にはトヨタの国内販売総数は250万台だったが、2000年には177万台、2010年は157万台、2019年は155万台と下がっている。

 車種のバリエーションは、最近になってSUVを充実させたが、セダンの車種数は大幅に減った。クラウンのような高価格車の売れ行きも下がっている。好調な販売を支えるのは、比較的価格の安いコンパクトな車種になった。

 販売店舗数は前述の約4600箇所だが、2010年には5000箇所を超えていたから、9年前に比べると8%減った。2020年5月から国内すべての地域で全店が全車を売る体制に移行したから、今後はさらに店舗が削減される可能性が高い。車種数を大幅に減らす方針も打ち出され、すでに商用車から姉妹車の廃止が始まった。

 このように少子高齢化や今後の人口の減少も踏まえて、トヨタも縮小を開始した。しかしそれでも現状を見る限り、販売面でトヨタに勝てるメーカーの出現は期待できそうにない。トヨタの国内市場に対する取り組み方が、良くも悪くも日本のカーライフを左右する。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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