「乗りたい」「欲しい」と話題沸騰! それでも「市販」されなかった「幻の」コンセプトカー5台 (2/2ページ)

かつての名車をモチーフにしたコンセプトカーも多く登場した

3)日産IDx

 こうしたヘリテージを感じさせるデザインモチーフというのはショーモデルにおける定番。2013年 第43回東京モーターショーにおいて日産が公開したショーモデル「IDx」は、まさしく510ブルーバードを21世紀に蘇らせたようなスクエアなフォルムが、逆にジェネレーションZ(1990年代に生まれた世代)に刺さるスタイリングで、老若男女問わず高い評価を受けたショーモデルだ。

 量産バージョンの「IDxフリーフロー」とレースバージョンの「IDx NISMO」が並べられた姿からは市販前提という期待も高まったが、残念ながら結果的には量産には至らなかった。

 もっとも、ショーの段階でリヤ駆動をにおわせつつ、公式にはNISMO仕様で1.6リッターターボとCVTを組み合わせたパワートレインを想定するなど、じつは中身はFWDプラットフォームを考えていたはずで、このスタイルをFFベースで出しても市場に受け入れられないというリサーチ結果が開発を凍結させたのかもしれない。

4)スズキLC

 510ブルーバードと同じ1967年に誕生したモデルをモチーフに生まれたショーモデルがスズキ「LC」。その名前とスタイルが示しているように2代目フロント(LC10型)にインスパイアされたカップル向け軽自動車のコンセプトカーだ。小さいクルマだからこその愛らしさ、パートナー感を全身で表現したスタイリングでは、あえてフェンダーミラーを現代風にデザインしていることも特徴のひとつ。

 プラットフォーム的には軽自動車をそのまま利用できるため実現性は低くはなく、市販されれば一定以上の支持を集めること間違いなしといわれたが、残念ながらこのスタイルが公道を走ることはなかった。もっとも、リサーチ結果はラパンのデザインに活かされているといえそうだ。

5)ホンダProject 2&4

 最後に紹介するホンダの「Project 2&4」は、公道モデルとしての市販を望むようなモデルではなかったが、サーキット遊びをするためのモデルとして量産が期待された一台。フォーミュラカーとスーパーバイク、それぞれの要素を併せ持つワンシーターモデルが世界初公開されたのは2015年のジュネーブモーターショー。その際は左ハンドル仕様だったが、同年の第44回東京モーターショーでは右ハンドル仕様が展示され、そうしたローカライズからも富裕層向けのサーキット専用車として計画が進んでいることを予感させた。

 鈴鹿サーキットなどでレンタルできれば乗ってみたいと妄想したファンも少なくないのではないだろうか。ちなみに、パワートレインはMotoGPマシンのストリートレプリカといえるRC213V-Sに搭載された999cc V型4気筒エンジンで、215馬力/13000rpmのスペックで、トランスミッションは6速DCTと発表されていた。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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