共に手放し運転可能! 「アイサイトX」vs 「プロパイロット2.0」本当に使える運転支援は? (2/2ページ)

「3D高精度地図」を制御に用いているところは共通

 ストレスという点でいえば、プロパイロット2.0については、当たり前だが速度規制を完璧に守ろうとすることで、シーンによっては実際の流れとの乖離が生まれ、そこがストレスになるという指摘もある。たとえば、ジャンクションの制限速度や料金所手前での減速などで周囲のクルマより減速することで危険を感じるという指摘もある。ただし、そうしたシーンにおいてはドライバーが操作すれば、それがオーバーライド(優先)されるので、解決策がないわけではない(厳密にはスピード違反になるので推奨できる行為ではないが)。

 というわけで、自動運転につながる新世代の運転支援システムとして見ると、それぞれにメリットがあり、まだまだ進化を望みたい部分もあるといったところだ。当たり前だが、ハンズオフを可能にする運転支援システムは出てきたばかり成長途中にあるのだから、今後の発展に期待すべきタイミングであろう。

 ちなみに、ハードウェアで比べると、アイサイトXもプロパイロット2.0も「3D高精度地図」を制御に用いているところは共通。アイサイトXでは準天頂衛星みちびきの情報を利用できるのが特徴だが、日産も電気自動車「アリア」からは同様に準天頂衛星の位置情報を活用することが発表されている。もっとも、準天頂衛星にしても常に使っているわけではなく、選択肢を増やすという意味であって、大半のシーンでは昔からあるGPSを利用していることが多いという。

 センサーについては、フロントカメラが大きく異なる。日産は画角の異なる3眼タイプで、SUBARUは新採用したステレオカメラとなっている。ミリ波レーダーについては、日産スカイラインではフロント中央のほか前後の四隅と合わせた5個を使っているが、レヴォーグは前後四隅の4個だけとなっている。つまり、センサーの数でいえば日産のほうが多い。

 ただし、ADAS機能のセンサーは多ければいいというものではない。コストや情報処理のことを考えると最小限のセンサーで、最大限の検知能力を発揮するのが理想といえる。その意味では、国産の元祖ADASといえるアイサイトを育ててきたSUBARUには一日の長があるといえそうだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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