見てもわからない「中身」の衝撃進化! 中古車選びで「要注意」の劇的マイナーチェンジ4選 (1/2ページ)

使い勝手や乗り心地を考慮して改良が施された

 現行モデルのマイナーチェンジであれば、比較的、改良の内容が分かりやすいものの、いざ、中古車を選ぶ際、いったいどの時期のクルマがベターであるかは、なかなかわかりにくいと思う。当時のマイナーチェンジを展開する試乗記を探すのもやっかいだ。

 そこで、自身のこれまでのマイナーチェンジモデル試乗記メモを掘り起こし、注目すべき、いや、マイナーチェンジで劇的に改良され、進化したクルマたちをピックアップしてみた。中古車を選ぶ際、そのマイナーチェンジ後のクルマをおすすめできる理由として、参考にしてほしい。

1)トヨタ・エスティマ

 まずは、いまはなく、しかしいまでも人気の高いトヨタの天才タマゴ、エスティマである。新車ではもう買えないことから、中古車を探している人も多いはずだが、ここで取り上げるのは、最終となる3代目のエスティマだ。3代目は2006年に登場し、2019年にその姿を消した。

 選ぶべきは、最後の(3回目)大きなマイナーチェンジが施された、2016年6月に発売されたモデルである。エスティマにとって10年目の進化であり、V6モデルが消滅。2.4リッターガソリンと2.4リッターのHVの布陣となったときだ。エクステリアデザインも大幅にリフレッシュされ、エスティマのスタイリングを一段と際立たせる2トーンカラーが用意されたのもこのとき。

 今、中古車で選ぶべきHVモデルは、電気式4WDながら18.0km/Lの燃費性能を持つビッグマイナーチェンジ以降のHVモデルだ。マイナーチェンジ前のモデルだとパワステの応答性や摩擦感、段差を乗り越えたときなどにブルブル感が残る振動減衰性能、乗り心地に不満がアリだった。が、マイナーチェンジ後のモデルはパフォーマンスダンパーの追加や足まわり、EPSに及ぶ大改良の結果、特に中高速域でのステアリングの応答性、リニア感が高まり、乗り心地面でも摩擦を低減した新バルブ採用のダンパーがすっきりスムースに動き、路面を問わず俄然、快適になっていたのだ。

 2.4リッターのエンジンは出足こそまったりした加速感だが、エンジンフィールは排気量なりの余裕を感じさせ、終始エンジン回転を抑えて走るため全域で静か。山道で高回転域を使うような場面でも不粋なノイズが抑えられている。操縦性は穏やかに躾けられているものの、山道やカーブでも腰高感は皆無に近く、電気式4WDシステム=E-FOURならではの安定感の高さを存分に味わえる。

 実際、箱根ターンパイクで試乗した経験があるが、全高1730mmのミニバンとは思えない確かな走りを味わせてくれたものだ。もちろん、2列目席は、中寄ロングスライドが可能で、膝周り空間最大780mm(身長172cmの筆者のドライビングポジション基準)を誇るリラックスキャプテンシート仕様に限る。お薦めのHVモデルであれば、東日本大震災の直後、暗闇の東北に明かりを灯した(全国から集められたエスティマHVが)逸話もある、AC100V/1500Wコンセントの用意もある。

 つまり、このビッグマイナーチェンジ以降のエスティマがねらい目で、できれば2トーンルーフを選べば、より古さを感じさせないエスティマ、愛車になると思う。

2)ホンダN-BOX

 次に紹介するのは、今、日本でもっとも売れているクルマ、ホンダN-BOXの先代(初代)モデルだ。そのデビューは2011年で、2017年までが初代モデルである。そのN-BOX で選ぶべきは、2015年2月のマイナーチェンジ以降のモデルとなる。

 理由はまず、2014年に兄弟車として登場したN-BOXスラッシュがいち早く採用した、後席5:5分割スライドシートが採用されたこと。当時のN-BOXの開発陣の言葉は今でも忘れないが、「N-BOXにとって悲願の後席スライド機構を実現」だった。

 しかも、初期型はハイトな車高に対応し、転倒防止のために足回りが硬く、乗り心地にゴツゴツ感が認められた点も、これ以降のモデルでは改善。よりマイルドな乗り心地になっているのである。

 このモデルの識別は分かりやすく、フロントデザインの刷新もポイントとなる。ここで注意したいのは、初代の最後期型を選ぶのは微妙ということ。2代目、つまり現行型との価格差が小さく、その予算があれば、現行型の初期モデルを選んだほうがいい。初代の中古車で価格、内容的に美味しいのは、2015年2月以降に生産されたN-BOXである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報