エグい見た目からは想像つかない! 超絶「ハード系」なのに「長距離移動がラク」なスポーツ車3選 (2/2ページ)

レースの技術が投入されるモデルもロングドライブで真価を発揮

2)STI限定車WRXベースの「S」シリーズ

 出れば即完売し、たちまち中古車市場で高騰する大人気車として知られるSTI限定車の最高峰「S」シリーズ。基本的には硬派なリアルスポーツモデルであり、ノーマルのままでもレーシングドライバーによるサーキット全開アタックに応えられるポテンシャルを備える。バネレートやダンパーの減衰力は相当引き締められているが、じつは、もっとも真価を発揮するのはサーキット走行よりもロングドライブだ。特に、NBR24耐久レースで培ったノウハウが注入さるようになったS206以降のSシリーズは、高速クルージング時の快楽性が極めて高い。ニュルブルクリンクという過酷な場所で行われる長丁場の耐久レースで何度も勝っているモデルのロードバージョンだけあって、高速での長距離・長時間ドライブによる疲労を低減させるためのノウハウが詰まっている。

 SシリーズはMTのみの設定なので、SUBARU最高額モデルながら自慢のアイサイトは付かないが、高速巡航時のファン・トゥ・ドライブ性がすこぶる高いおかげで、あっという間に長い距離を走り切ってしまう。運転という行為にただひたすら没頭でき、エンジンサウンドも快音なので、オーディオさえ不要と思ってしまうほど、質の高い濃密なロングドライブが楽しめるのだ。

 ただし、WRXベースのSシリーズの中でもS202はモータースポーツ競技向けのスペックCがベースであり、遮音材などが大幅に挽かれたスパルタンな仕様なので、あまりロングドライブ向きではない。そんなS202よりも古い、Sシリーズの第1弾であるS201は、当時の富士重工業の航空宇宙事業本部が設計した空力特性に優れたエアロパーツを装着しているので、高速巡航性能は秀逸だ。

3)シビックタイプR(4代目FK2型以降)

 ホンダのタイプRといえば、ノーマルのままでもサーキットで高度な走行性能が味わえるリアルスポーツモデルとして知られる。インテグラも含め、かつてのタイプRは日常性をギリギリまで削ぎ落とした硬派さが特徴で、絶大な人気の理由でもあった。特に3代目 FD2型シビックタイプRは4ドアセダンベースながら国産車史上最強レベルに足が硬く、リヤシートに居ても常に尾てい骨が揺さぶられ、走行中に迂闊に喋ると舌を噛む恐れがあるほどハードな設定だった。

 硬派過ぎて乗り手を選ぶ孤高の存在という魅力もあったが、それもすでに昔の話。4代目FK2型以降のシビックタイプRは劇的なまでにしなやか路線となり、高速巡航時の安楽さも大幅にアップした。4代目FK2型からニュルブルクリンクでのFF車世界最速を目指すようになったことが、タイプRの路線変更に大きく影響している。ガチガチに固めた足では、ニュルで世界の競合車よりも速く走ることは難しいからだ。

 しかも、4代目FK2型からエンジンはNAではなくターボ化され、低回転域からでも十分に太いトルクが得られるようになったことも高速巡航性の向上に繋がっている。


マリオ高野 MARIO TAKANO

SUBARU BRZ GT300公式応援団長(2013年~)

愛車
初代インプレッサWRX(新車から28年目)/先代インプレッサG4 1.6i 5速MT(新車から8年目)/新型BRZ Rグレード 6速MT
趣味
茶道(裏千家)、熱帯魚飼育(キャリア40年)、筋トレ(デッドリフトMAX200kg)
好きな有名人
長渕 剛 、清原和博

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