ロータリーにディーゼル! 普通車にあっても軽自動車にはない「パワーユニット」3つと存在しない理由 (2/2ページ)

搭載車種が限られるものやメリットを生かせないものも存在

2)ディーゼルエンジン

 ディーゼルエンジンも軽自動車では見られない機関方式だ。大きな理由のひとつとして、軽自動車の660ccという排気量は、動力源としてディーゼルエンジンを成立させるには容積が不十分であることが挙げられる。ディーゼル機関のメリットは熱効率に優れる点にあるが、小排気量だとこれを確保することが難しくなるのだ。

 もちろん、歴史的に見て、かつてダイハツがシャレード用に開発した993ccのCL型SOHC3気筒ディーゼルターボ(50馬力、実用燃費36.54km/L、ギネス記録)や、2015年にスズキが現地法人マルチ・スズキ・インディアの現地生産モデル、セレリオ用に開発した792ccのE08A型4バルブDOHC2気筒ディーゼルターボ(48馬力、実用燃費27.62km/L)などの例もあり、まったく可能性のない方式ではないが、日本のように最先端の自動車工学技術が投入され商品作りが行われる成熟した自動車市場を前提に考えると、コストも含めて軽自動車用としては、メリットよりリスクのほうが大きなメカニズムとなってしまう。

3)ロータリーエンジン

 同様の理由で、軽自動車用としてありそうでなかったメカニズムがロータリーエンジンである。ロータリーエンジンは、マツダ(旧東洋工業)がドイツNSU社から生産、製造に関するライセンス契約を締結し、1967年コスモ・スポーツで実用化に成功したエンジンだが、軽量コンパクト、高出力という一側面だけでこのエンジンを支持し続けてきた一部の評価は過ちである。

 実際、ロータリーエンジンには、熱効率面で不利、高回転高出力性、排出ガス対策(2酸化炭素削減)、実用可能な排気量枠という諸問題があり、搭載車種や形態が自ずと限られることがわかってきたエンジンである。

 日本の場合、ロータリエンジンの対レシプロ排気量換算は1.5倍とされているため、軽自動車用は440ccが排気量上限となる。物理的には10A型(491cc×2ローター)の1ローターを若干縮小して使用すればよく、実用化に際して生産技術の点ではそれほど問題はないはずだが、軽自動車のパワーユニットとして見た場合、レシプロエンジンに対してどれほどのメリットがあるかという点を考慮すると、やはりメリットよりリスクが大きくなるエンジンである。

 軽自動車用としてありそうでなさそうなエンジンやパワーユニットの方式について考えてみたが、普通乗用車とは比較にならないほど重量やサイズ、コストで制約を受け、実用性能を最優先した経済性が軽自動車の生命線であることを再確認させられた検証となった。


新着情報