【燃費悪いならエンジン車でいいんじゃない?】ハイブリッドの「うま味」が感じられないクルマ3選 (1/2ページ)

そもそも電動化は環境性能確保のための施策

 クルマの電動化トレンドは加速・拡大する一方です。当面、エンジンはなくならないと言われていますが、それでもほとんどのクルマが電気モーターとエンジンという2つの動力を持つハイブリッドになることは既定路線といえます。そして電動化は、主にCO2排出量を低減するための方策で、それは気候変動に対して自動車業界に課された規制に適応するためといえます。また、ユーザー側としてはハイブリッドを選ぶことで燃費コストの低減が見込まれます。だから、人気を集めているわけですし、増えているのです。

 そんなハイブリッドカーですが、なかにはそれほど燃費性能に貢献していないモデルもあったりします。燃費だけがハイブリッドのウマ味というと語弊があるかもしれませんが、ここではハイブリッドの燃費メリットがそれほど感じられない3モデルを国産ブランドからピックアップしてみました。

1)SUBARU e-BOXER

 まず、紹介したいのはスバルの「e-BOXER」と呼ばれるマイルドハイブリッドシステムを搭載したフォレスターとXVです。この「e-BOXER」、トランスミッション内に10kW薄型モーターを置き、リチウムイオン電池で駆動するというマイルドハイブリッド。エンジンルームに目をやると、それ単体でもマイルドハイブリッドとして機能するISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)&専用鉛バッテリーが確認できます。積極的にモーターだけで走るタイプではなく、あくまでモーターはエンジンのアシストに徹するタイプのハイブリッドとしては最高級なタイプといえるのです。

 しかしながら、燃費性能ではEV走行も可能なフルハイブリッド(ストロングハイブリッド)には敵いませんし、実際の燃費をみてもガソリン車との違いが圧倒的というほどではありません。アシスト用モーターとISGを併用したハイブリッドシステムと思うと、少々期待外れといえる環境性能だと感じてしまうのです。

 しかし、スバルe-BOXERはそもそも燃費ばかりを考えたハイブリッドではありません。フォレスター、SUBARU XVというクロスオーバーSUVに求められる悪路走破性に、モーターならではの繊細な駆動特性をもって寄与するハイブリッドシステムなのです。燃費に過大な期待をすると「ウマ味がない」と思ってしまうかもしれませんが、SUVとしての走りを際立たせるためのモーター駆動を持つパワートレインと考えれば納得できる仕上がりです。だからこそ「e-BOXER」という名前をつけているのです。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

新着情報