家計にメリットがないハイブリッド車! 噂されるEV優遇の「補助金」が電動化車両の普及に有効じゃないワケ (2/2ページ)

EV購入補助金を手厚くしても買える車種が豊富にない!

 アメリカや中国では、年間平均走行距離が4万kmほどになると聞いたことがある。一方の日本では、全体でみるとアメリカや中国ほど“距離を伸ばす”ひとは少なく、諸外国から見れば、“ならし運転レベル”の走行距離で下取りや売却されることが多いため、それが海外で中古車として人気も高まっている。ハイブリッド車を購入しても十分な経済的メリットを受けられるひとは限られているのが現状であり、販売現場では、そのようなひとたちにガソリンエンジンだけでなく、モーターまで載っているハイブリッド車は不要と判断するケースが多いようだ。

 政府は2021年度から、BEV(純電気自動車)の購入補助金を最大80万円に引き上げる方針を決めたとの報道が流れている。諸外国のようにFCV(燃料電池車)や、PHEV(プラグインハイブリッド車)も優遇が手厚くなる可能性も高い。ただ一気にこれらの新エネルギー車への転換を図るには、日本よりはるかに手厚い購入補助を設け、車種ラインアップも豊富となっている中国ですら思うような普及が進んでいないので難しいだろう。

 まずはHEV(ハイブリッド車)の普及をさらに進め、“とりあえずモーターのついたクルマに乗ってもらう”ということで、HEVの購入補助を手厚くしないと、前述したように、“迷っているお客にはガソリン車を勧める”という現場の状況では、車両電動化(HEV以外)の分野でも、日本は諸外国にますます出遅れることになりそうだ。

 さらに、そもそも論になるが“BEVに乗れ”と政府が音頭をとっても、日系ブランドで満足に購入できるBEVが日産リーフしかないという現状をまずは早急に変えないと、補助金を手厚くしても、HONDA e(現状では常時買えるわけではない)や海外ブランド車ではBEVはあるものの、実質“リーフ購入補助金”になるだけ。普及促進という側面では、あまり意味がないようにも感じる。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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