【試乗】「XC60 B6」「V60 B5」2台のR-Designにボルボの「安全性の次」が見えた! (2/2ページ)

ガソリン車と比べても違和感のないルックスと走り

 まずはV60 B5だ。車体外観やインテリアなどはすでにおなじみとなった新世代ボルボのテイストをそのままに引継いでいて、外観から内部の電動化を見出だすのは難しい。エンジンを始動すると通常のガソリンモデルと変わらぬ所作で走り出すことができる。加速場面でアクセルを踏み込むと多少のアシスト感は感じられるものの、ガソリンエンジン車との差異を感じ取るのは不可能なくらいだ。クルージング中の気筒休止も再始動も、ドライバーは感じ取ることができない。通常のクルマと同じようにドライブし、走らせれば、気付かぬうちに環境に優しく低燃費走行が行えていることになる。

 R-Designのスポーティな走行フィールはパワートレインとは別に、シャシーやサスペンションのファインチューニングによってもたらされている。とくにダンパーのチューニングとロール剛性を高めたことでコーナリング中の姿勢が安定し、ステアリングの応答性が高まりつつ、正確性も確保できている。

 60シリーズはリヤサスペンションにグラスファイバー製の横置きリーフスプリングを採用しているのも特徴。今回はツーリングワゴンタイプの低い重心との相性もよく、FF前輪駆動らしからぬ重量バランスの良さも走りから感じ取れた。

 次にXC60に乗る。車高の高いSUV車でボルボが得意とするAWD(全輪駆動)方式が採用されているモデルだ。SUV+AWDとうパッケージングは世界中で人気の高い仕様だが、大きな車体と駆動系による重量増加に対して電動スーパーチャージャーを追加しパワーアップを図ることで力強い動力性能を引き出せる。

 電動スーパーチャージャーは48Vのリチウムイオンバッテリーシステムから給電され、加速初期に大きな力を引き出す。高回転域はターボチャージャーに過給業務を引継がせ、ISGMと相まってシームレスでトルクを発揮できる。そのためドライバビリティは軽快で、アクセル操作に対するパワーピックアップに優れ、速い。車高の高さに対して重心高はそれほど高まっておらず、コーナリング姿勢、ハンドリングの正確さ、素直なライントレース性も魅力だった。

 ボルボ車は2020年からグローバルで180km/hの最高速度リミッターを装着。今回の2モデルにも採用されている。これは来るべきEV時代に電動モーターが効率よく直結で引き出せる最高速度が180km/hという時代を見越してのことといえる。

 安全性の高さがボルボ車のイメージを牽引してきたが、これからは環境性能の高さ、先進性なども大いにアピールされていくことになるだろう。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
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クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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