レーシングドライバーが本気の提案! あえてGRヤリス「じゃない」選択でS耐に挑戦したい「クルマ」とは (1/2ページ)

レーシングドライバーが自ら売り込みをしなければいけない

毎年、年末となるとレーシングドライバーは落ち着かない。翌年の契約が決まってドライブするシートが確保できているのはほんの一握りのドライバーであり、多くの者は企画書を手にスポンサーやチームを巡り、来季のシートを確保するのに躍起になる。

ボクが現役の最前線で走っていたころは、バブル経済の影響もありレーサー需要は引く手数多。ドライバーが自ら企画書を練ることはなかった。年末になると家の電話(固定)が鳴り、「来年ウチで走りませんか」とか「来年も引き続きお願いします」といった報を受けて気持ちよく年始を迎えられたものだ。

現在、モータースポーツが置かれている環境は非常に厳しく、自動車メーカー直系あるいは直属のチームでなければ安穏とはしていられない。自動車メーカー直系でも独・フォルクスワーゲン社のようにモータースポーツ撤退という方針が示されたら、新たな活動場所は自ら導き出さなくてはならなくなってしまうのだ。

そこで今回はレーシングドライバー目線で、来シーズンのレース活動をサポートしてもらうための企画書を提案してみたい。

どんなカテゴリーで走るのかを決めないと、スポンサーや協力企業の目星を付けられない。一例として「スーパー耐久レースシリーズ(S耐)」への参戦を企画してみる。S耐はいくつかのクラスに分けられていて、ドライバーとして勝てる見込みとコストのベストバランスを見定め魅力ある提案とする必要がある。そこで着目するのが「ST-2(Div2)」カテゴリーだ。かつては2リッター/ターボ4WDの専用クラスとして「三菱ランサー・エボリューション vs スバル・インプレッサWRX」が雌雄を争い盛り上がった。

近年、ST-2はレギュレーション変更により参戦可能な車種が増え、いま大きな注目を集めている1.6リッターターボ4WDのGRヤリスも参戦可能となっている。恐らくGRヤリスの参戦でS耐ST-2クラスは来シーズン大き盛り上がりを期待できる。そこで活躍できればモータースポーツファンの注目も高まり、スポンサーや協力企業にとってはサポートするメリットが生まれることになる。

そこで参戦するための体制も提案する。まずレース車両だが、ここはあえてGRヤリスを選ばない。恐らく多くのチームがGRヤリスを投入することになると予測されるから、あえて別の車両で勝てるベース車を探す。三菱のランエボはすでに生産が中止されていて手に入らない。またスバルはS耐よりGT300のBRZに多くの力を注いでいる。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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