最高のハンドリング! 極めて高い安全性! それでも新型レヴォーグが抱える「問題点」とは (2/2ページ)

このパッケージで環境性能を追求できたら完璧!

 しかし、私はレヴォーグへCOTYの配点をしていない。理由は、動力にガソリンターボエンジンしか選択肢がなく、その燃費性能はWLTCで13.7km/Lでしかなく、東京から長野までの長距離試乗で複数台数乗り比べたが、オンボード上の平均燃費は9~10km/Lであったからだ。

 オンボード上での平均燃費は、ほかの運転者の運転の仕方次第で上下するので、表示をそのまま鵜呑みにはできない。だが、私が他車で日常的な運転をした際には、燃費値がそれなりに改善されていくのに対し、レヴォーグではわずかしか改善されず、それはすなわち根本的に燃費性能がよくない傾向にあることを示している。

 また、二酸化炭素(CO2)の排出量は170kg/km前後であり(グレードにより若干差がある)、走行モードの違いもあるため厳密ではないが、ひとつの指標として来年から欧州で施行される95g/kmの1.9倍近い。今年まで施行されてきた120g/kmにさえ遠く及ばない。

 クルマの仕立てのよさから、国内専用車ではなく海外でも販売できるのではないかとの意見もあるようだが、このような環境性能では日本以外の市場では受け入れられないだろう。SUBARUに限らず、それほど日本は環境問題に対し鈍感だ。

 SUBARUは、水平対向エンジンと4輪駆動によって、低重心で優れた操縦安定性と速さを追求してきた歴史がある。しかしそれであるなら、EV(電気自動車)であればより低重心で高度な走行性能と環境性能の両立がはかれるはずだ。しかも、SUBARUにはハイブリッドのe-BOXERがありながら、レヴォーグの選択肢に入れていない。

 SUBARUのよさを多くの人に味わってもらいたいと思う。だが、この環境性能では、たくさん売れては困るクルマになってしまうのである。そもそも時代のスタートラインに並べないという点で、私はCOTYで配点しなかった。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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