【試乗】スズキ・ソリオは全方位で進化! 走りの質感や機能性も向上した魅力的プチバン (1/2ページ)

先代の良いところは受け継ぎユーザーの要望に応えた改良を実施

 スズキ・ソリオはまさに日本の道、ファミリー、運転初心者からベテランドライバー、そして愛犬家にもぴったりの、使いやすさ抜群な5ナンバーサイズのコンパクトトールワゴン、プチバンだ。

 その新型は、全長を80mm(バンディットは70mm)、車幅を20mm拡大。全高はそのままとしている。それでも全長3790×全幅1645×全高1745mmと、5ナンバー車にとしては車幅の狭い扱いやすいサイズにとどめているのがスズキ流。しかも、サイドミラー形状を工夫し、ミラー・トゥ・ミラー幅は前代と同一。つまり、新型でも先代がギリギリ通れた道をクリアできるというわけだ。

 プラットフォームはコスト増を避けるため、先代からのキャリーオーバー。したがってホイールベース2480mmは変わらない。

 エクステリアはずいぶん立派になった。それもそのはず、ボンネットを45mm高め、ソリオ、バンディットとともに、一段と堂々とした、今風の厚みと存在感あるフロントマスクとなっているのだ。

 パワーユニットは、先代の場合、1.2Lガソリン、1.2Lマイルドハイブリッド、1.2Lフルハイブリッドの3タイプを用意していたが、新型では1.2Lガソリン、メイングレードとなるマイルドハイブリッドに集約。このクラス、この価格帯のコンパクトカーに、価格増となるフルハイブリッドは不要……というスズキの、というか、ユーザーの声に応えたものである。

 こうしたコンパクトハイトワゴン、2列シートのプチバンの肝となるキャビンのパッケージングは先代同様だ。では、全長80mm、車幅20mm増はどこへいったかと言えば、全長80mmの延長はそっくりそのまま、これまたユーザーの熱い声に応えて、ラゲッジスペースの奥行に充てられている。そう、先代ユーザーの「もう少しラゲッジスペースを拡大してほしい」という希望にしっかり対応しているのだ。

 全幅の20mmは、ボディサイドのデザイン、抑揚を付けるためだけではない。じつは、先代ユーザーの不満点だった、後席左右の乗員の肩部分の拡大に使われている。具体的には、Cピラー直後の内張りを凹ませ(そのためにも全幅の拡大が必要だった)、肩部分のゆとりを実現しているというわけだ。

 もっとも、すでに説明したようにキャビンのパッケージングは先代同一で、ペダル位置、シートサイズ、前後シート間距離などは変わっていない。後席のシート幅もそうなのだが、肩部分の横幅の余裕から、一段と広々とした印象が持てる。何しろ、身長172cmのドライバーで調整したシート位置の背後で、そもそも広すぎた先代と変わらない、頭上に215mm、膝周りに最大360mm!!(ステップワゴンの2列目席と同一)もの、ゆったり足が組めるほどの広大なスペースが確保されているのだ。後席フロア面積は幅1250mm、奥行500mmもあり、大型犬がフロアで寛げるスペースがある。

 ちょっとした嬉しさとしては、運転席シートサイドにあるポケット。スマホをスッと入れるのにぴったりで、布地のポケットなのでカタカタ音がしないのもポイントだ。

 新型ソリオがフルハイブリッドをやめた恩恵は、ラゲッジスペースにも表れている。そう、フルハイブリッドだとバッテリーが占領する床下収納=サブトランクの容量をたっぷり取ることができている。ラゲッジフロアのコンパクトなキャリーケースを5個横に並べられる(!!)広さと合わせ、じつに使いやすいラゲッジルームになっているのである。

 もちろん、この時代に欠かせない先進運転支援機能のスズキ・セーフティサポートも進化して搭載。6エアバッグを全グレードに標準装備するとともに、カラーヘッドアップディスプレイ、全車速域追従型のACC(電子パーキングブレーキ未採用で停止保持機能なし)、さらに後席の空調環境を高めるスリムサーキュレーター(風量は4段階。2段階目までなら送風音が気にならない)、スマホ時代に欠かせないUSBソケット、全方位モニターなど(一部グレード限定/オプション)を新採用し、使い勝手と快適性を大きく高めているのも新型ならではだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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