「雨の日の性能」に「騒音」! タイヤの「溝のデザイン」が重要すぎた

トレッドパターンには4つの役割がある

 タイヤの接地面=トレッドには、幾筋もの溝や切り込みが入っている。こうしたトレッド面の模様のことを「トレッドパターン」という。

 タイヤなんて黒いゴムの塊、と思っている人は、残り溝の深さぐらいしか関心を持ったことがないかもしれないが、よく見るとメーカーごとに、そして製品ごとにかなり個性があって、ゴツゴツしたブロックのオフロード用のものもあれば、すっきりシンプルな昔ながらのリブ型デザイン、最近主流の非対称パターンやスポーツ用タイヤに多い方向性パターンなど、凝ったデザインを採用しているタイヤも少なくない。

 トレッドパターンは、いわばタイヤの顔であり、タイヤに詳しい人ならば、トレッドパターンを見ただけで、どこのメーカーの何の銘柄かまでわかるほど。

 購入するときも、どうせ買うなら「高性能ぶりをイメージさせるデザイン」「カッコいいデザイン」「個性的なデザイン」を選びたいものだが、トレッドパターンは視覚的な意味合いだけでデザインされるものではない。

 じつはトレッドパターンには、下記の4つの役割がある。

 1.タイヤと路面の間の水を除去する(排水性の向上)

 2.駆動力・制動力の増加

 3.操縦安定性・放熱性の向上

 4.美しいデザインにより、商品としての魅力を高める

 このうち、とくに重要なのは排水性で、ゴムの材質や柔らかさ、タイヤの構造などが同じであれば、排水性の9割以上はトレッドパターンで決まるほど(ストレートグルーブが太くて本数が多いほど排水性がいい。でも一つひとつのブロックが小さくなると、ブロック剛性が落ちる)。

 また、回転中のタイヤから発せられるノイズ、パターンノイズも、トレッドパターンの影響が9割といわれている。

 というわけで、ユーザー側はトレッドパターンのファッション性にしか興味がないかもしれないが、タイヤメーカーサイドでは、入念なシミュレーションとテストを繰り返して、そのデザインを決めていて、デザイナーの仕事というより、エンジニアリングが幅をきかせている分野でもある。

 そうした機能・性能を重視しつつ、新しいデザイン、個性的なデザインを日々追求しているのが、トレッドパターンであって、意外に奥の深い世界だったりする。

 そんな視点から、いろいろなトレッドパターンを見比べてみるのも面白いかもしれない!?


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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