ランドローバー・ディフェンダーは悪路以外も強烈だった! 隠された意外な「魅力」とは (2/2ページ)

高級車としての機能も揃っている

 クルマに乗り込むときは、最低地上高218mmにより乗り込むのが大変だが、エアサスペンションにより車高は約40mm下げられ、すると乗り込みも容易になる。実際悪路を走破する場合には291ミリまで最低地上高を高めることができるので、人が歩行困難なほどの岩場でも走れるのだ。こうした動作が数秒で実行させられるので、実用的といえるだろう。

 ディフェンダーのパワートレインは2リッター。直噴直4のガソリンターボエンジンだ。これに8速のATを組み合わせ、AWDの4輪駆動システムを取り入れている。

 2.1トンある車両重量に対して2リッターターボで力不足を感じないか不安に思うかもしれないが、このエンジンは魔法でもかけられたように低速トルクが豊かで、山岳路でも十分なパワーを引き出せる。時速100kmでの高速巡航時には8速で1750rpmという低い回転数で走れ、高速燃費はカタログ値通りの8.3km/Lを容易に引き出せるのだ。

 AWDシステムも素晴らしい機能を持たされている。センターデフとリヤデフに電子制御のロッキングシステム(作動差制限)を採用しているが、その作動が極めて自然でリーズナブル。モニターで作動状況がリアルタイムで確認できるが、乾燥舗装路の直進状態でも燃費や安定性を考慮してロックしたり、旋回中にはフリー〜中間拘束〜ロックをきめ細かく制御し使い分けている。その作動をドライバーが感じることはなく、モニターを確認しなければ作動状況を知ることはできないだろう。

 またドライブモードとして「ECO(エコ)」「コンフォート」「草地・砂利・雪」「泥・わだち」「砂」「岩場」など6モードを備えていて、ヒルディセント機能なども組み合わせると悪路走破能力は相当高いことがわかる。走行機能に優れるだけでなく、高級車としての機能も十分揃っていて、前席電動アジャストのパワーシートはもちろんだが、後席も含め全席シートヒーターを備える。USBの電源ポートも前後席全てに備わり、デジタルインナーミラー、ドライブアシストもフル装備している。

 全幅2m弱の巨体は上級カテゴリーのレンジローバーを上まわるサイズで、それでいて価格設定は国産車レベルでコストパフォーマンスも高い。本格的な電動化時代を迎える直前の現代において、必要なほぼすべての性能が集約されていると言っても過言ではないだろう。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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