エンジン好きなら人生一度は乗ってほしい! 替えがきかない「絶版名機」4選と搭載車 (1/2ページ)

もっともレアで伝説になりえるエンジンも存在!

 自動車業界は100年に一度の大変革期ということで、完全に電動化に向かっています。環境性能とCO2排出量のバランスでいうとガソリンハイブリッドが現時点でのベストソリューションという見方もありますが、純粋なエンジン車を存分に味わうことができる時間は徐々に短くなっていると感じることが少なくない今日このごろではないでしょうか。

 純粋にエンジンを味わうというと、高回転までシュンと回ることを楽しむこと、トルクがモリモリと出てくる様子を味わうこと、ギューンとパワーが出てくるストーリーを感じることなどが挙げられます。いずれにしても非常にエモーショナルなもので、感覚的・本能的に楽しみを感じる要素といえます。

 というわけで、そんなエンジン単独で他にはない味を持っている国産名ユニットをピックアップしてみました。このセレクトに異論はあるかもしれませんが、どれも中古車であれば見つからないことはないエンジンです。機会あれば、是非とも味わって欲しいと思います。

1)マツダ20B

 まずは世界でもマツダだけが量産に成功した3ローターのロータリーエンジン(RE)から紹介しましょう。バブル期に開発された大柄な2ドアクーペという超贅沢な商品企画から生まれたユーノス・コスモ、その上級グレードには「20B」と名付けられた3ローターのREが搭載されていました。

 3つの辺で構成されているローターをトロコイド形状のハウジングの中で回転させるREは、そのスムースネスも評価されていますが、コンパクトなサイズとは思えないほど大パワーを出せることが特徴です。ひとつのローターが三角形となっているのですが、それぞれの辺が回転位置によっては燃焼室となるため、1ローター=3気筒と考えることができるからです。

 また4ストロークのレシプロエンジンとエンジン回転数あたりの吸気回数が2倍となっていることもサイズに対してパワーを引き出すことができる理由です。そうした事情を勘案すると、3ローターのREはレシプロエンジンでいえば8~12気筒相当の高級エンジンになるといわれることもあるほどです。

 しかも3ローターのREを乗用車用として量産に成功したのは世界でもマツダだけ。さらに、ユーノス・コスモに搭載された「20B」には大小のターボチャージャーを組み合わせたシーケンシャルツインターボ仕様とすることで、驚くほどのスムースネスを実現したことで、もはや伝説のエンジンとなっています。とはいえ、中古車は流通していますが、コンディションを選べるほどの数もなく、完調の状態を維持するにはそれなりに愛情を注ぐ必要があるなどハードルは高いのですが、だからこそ国産エンジンでもっともレアで伝説になりえるユニットといえるでしょう。

2)日産RB26DETT

 レア度でいえば、それほどではありませんが、こちらも一生に一度は味わっておきたい伝説の国産最強ユニットが日産の「RB26DETT」でしょう。もともとはスカイラインGT-Rの専用エンジンとして生まれた、総排気量2568ccの直列6気筒ツインターボです。このエンジンのすごいところを書き出すとキリがありませんが、280馬力規制下において誕生したエンジンながら、ハードウェアの目標値としては500馬力以上に置いていたという点は、1980年代に生まれたエンジンとして特筆すべきポイントでしょう。

 スカイラインGT-Rという大事にされてきたモデルの心臓として育まれたRB26DETTについては、そのキャラクターからチューニングパーツも数多く用意され、チューニング次第では1000馬力に達することも不可能ではありません。また、可変バルタイ機構などをチューニングパーツによって追加することで乗りやすさとパワーを両立しているのもチューニングが盛んなRB26ならではの特徴です。

 RB26DETTを搭載したスカイラインGT-Rの中古車価格は日々高騰中というのが現実ですが、それでもお金さえ用意できれば誰でも入手できるレベルにあるのも事実。年々チャンスが狭まっていますから、RB26エンジンに乗りたいのであれば「思い立ったが吉日」です。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
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