自宅より車内で「仕事したくなる」のはどのミニバン? ノアヴォク・セレナ・ステップワゴンを徹底比較した (2/2ページ)

利便性や遠出、休憩中の過ごし方などにも装備の差が影響する

 また、ワーケーションでは車内でパソコンやタブレットを使うことになるのだが、その点で先を見越していたのか!? セレナの使い勝手が圧倒する。なにしろ、前席背後にタブレット&スマホ専用ポケットがあり、なおかつその横にUSB充電ソケットを用意しているのである(他車もUSBソケットを用意している)。

 しかも、セレナのキャプテン&セミベンチシート変幻自在の2列目席には、前後にロングスライドするスマートマルチセンターシート(タイプ別設定)が備わり、そこには蓋付の収納があり、その下にもティッシュボックスがスマートに入るスペースがあるのだから超便利。まさに2列目席が使いやすさ抜群のオフィス環境!? と化すのである。

 さらに言えば、各車にスマホやタブレットの充電ができるUSBソケットが用意されているのは当然として、2モーターのハイブリッド車の一部にある、AC100V/1500Wコンセントがあれば、パソコンなどの電源確保はもちろん、1500Wまでのコーヒーメーカーなどの家電品を車内外で使うことができ、仕事の合間の休憩時のリフレッシュに最適だ。

 ただし、ハイブリッドモデルにAC100V/1500Wコンセントを用意しているのは、このMクラスのボックス型ミニバンではステップワゴン(最上級のe:HEVスパーダG-EXホンダセンシングのみにオプション設定)のみ。日産は設定なし。トヨタもアルファードやプリウスなどに用意しているのだから、ちょっと残念。まぁ、USBがあれば、スマホの充電ができて、それで十分……なのかもしれませんけどね。

 仕事の合間の休憩……では、Mクラスボックス型ミニバンの場合、大きなバックドアを、雨もしのげるひさし代わりにして、ラゲッジルーム後端に腰掛けて新鮮な空気を吸い、景色を眺めるのもいい。そんなときのチェックポイントは、まずラゲッジルームの開口部に段差がないかだが、ここは全車合格。次に重要なのが、開口部の地上高。これも、ヴォクシー、ステップワゴン(3列目席床下格納時)が500mm、セレナも520mmと大差なく、大人なら座りやすい高さにあるから問題なしである。

 こうして、Mクラスボックス型ミニバンを停車して、車内をオフィスとして使う場合、シートアレンジ性、空間のゆとり、ポケッテリアやUSB電源確保という総合点では、セレナがなかなかと言っていい。

 一方、2列目席のワークチェア!? としてのかけ心地では、フロアからシート先端までに高さがあり、より椅子感覚のワークチェア的に座れるヴォクシーが有利となり、AC100V/1500Wコンセントを使いたいならステップワゴンということになるだろう。ちなみに、車体後部を壁などギリギリに止めた場合に、ラゲッジスペースの荷物を取り出しやすいのは、わくわくゲートのサブドア(横開き)を持つステップワゴン、ガラス部分だけ開閉するデュアルバックドアを備えたセレナとなる。

 ちなみに、ワーケーションのために、高速道路を使ってちょっと遠出する……という場面では、セレナの360度セーフティアシスト、ACC(アダプティブクルーズコントロール)の作動にも定評あるプロパイロット装備グレードが威力を発揮し、ロングドライブでも疲れにくい。ステップワゴンにもACCは用意されているが、作動(加速、再加速)がもっさりしすぎて、かえってストレスになりがち。ヴォクシーはACC未装備である。そうした先進運転支援機能まで含めると、やはりセレナのワーケーションカーとして資質が際立つ……というのが、個人的な印象である。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報