「ダイヤル」「ボタン」「スイッチ」! ストレートorゲート式だったATのシフトが多様化した理由とは (1/2ページ)

ひと口にATとはいってもその種類や操作方式はさまざま

 いまや自動車の変速方式はATが圧倒的多数で、MTは珍しい存在となっている。ATが持つイージードライブ性やAT自体の高性能化が進んだためだ。逆にMTは、動力伝達のロスがない、ギヤの切り替え時間が短い、即座に任意のギヤに切り替えられるといった性能上の利点が大きな存在理由となっていたが、性能で上まわるデュアルクラッチシステムのセミオートマチック方式(セミマニュアル方式?)が実用化されたことで、モーターレーシングの領域でもその価値は失われ、シフト操作を楽しむという趣味性の領域でのみMTは存続が許されるという事態に追い込まれてしまった。

 さて、AT車は、かつてはトルクコンバーターを介したステップアップ式の走行ギヤを備えるシステムが大多数だったが、現在は理論的に機関効率に優れるCVT方式も増え、さらにデュアルクラッチ方式のセミAT方式の登場により、ひと口にATとはいってもその種類や操作方式は多様な状態となっている。ここでは、こうした点に着目しながら、変化を遂げてきたATのシフトセレクト方式について振り返ってみることにしよう。

 まず、ATのなかでもっとも基本的というか古典的な方式が、ストレート式だ。MT車ならシフトレバーが装着されるフロアセンターにシフトセレクターを配し、基本的な例で言えば手前からL(あるいは1)-2-D-N-R-Pとシフトポジションを一直線上に並べた方式である。また、セレクターはトランスミッションと機械的につながり、その動きでギヤポジションを選択するシステムとなっている。

 ところで、ATはシフト操作を自動的に行う方式なので、手動でギヤを選択するポジションがあること自体、不思議にも思えるが、降坂時のエンジンプレーキや加減速を繰り返す領域でのレスポンスを確保する目的で、任意のギヤにホールドする必要性が生じてくる。このため自動シフトとなるDポジションと、低速ギヤ選択(L/1、2)のポジションが設けられることになったのだ。そしてギヤポジションを選択する際、もっともシンプルなセレクターの操作形態としてストレート式が使われるようになったというわけだ。


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