コロナ禍でも落ち込まず! 日本車の苦手分野「高級車」で「レクサス」が成功できたワケ (4/4ページ)

RXの登場により日本でもレクサスが定着

 このようにビジネス的には我慢の時期もあったが、レクサスのスケールが拡大していったのはSUVラインアップが充実するようになってから。2009年にSUVモデルの「RX」が誕生してからレクサスの躍進が始まった。

 国内でのブランド立ち上げから4年弱、レクサスディーラーの認知度が上がってきたタイミングでの「RX」導入は、後から考えれば絶妙のタイミングといえるものだった。さらにこのあたりからリセールバリュー(残存価値・下取り価格)の高さがレクサス車の魅力としてクルマ好きのあいだで認知されるようになっていった。

 じつはリセールバリューというのはドイツ車のウィークポイントのひとつ。その部分においてレクサスというブランドはプレミアムブランドのなかでリードするカタチになった。

 加えてSUVラインアップも充実していったこともレクサスの販売台数増につながっている。2014年に「NX」、2018年には「UX」と「RX」の弟分といえるモデルが充実していった。とくに「UX」は手頃なレクサスSUVとして人気を博し、いま日本国内でもっとも売れているレクサス車となっている。

 まとめれば、国産であることを感じさせないブランドイメージをしっかりと時間をかけて熟成しつつ、人気のSUVラインアップを充実させ、そしてユーザーメリットであるリセールバリューを高いレベルで維持していることが、レクサスの成功につながったと整理することができる。

 ある意味、ハードウェアの特徴に頼らないブランディングというのはユニークなもので、これからも「おもてなし」と「リセールバリュー」で期待値以上のレベルをキープすることができれば、電動化時代になってもそのブランド力は失われないだろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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