高速の「事故原因」の定番「速度超過」はじつはわずか! もっと注意すべき「違反」とは (2/2ページ)

安全運転義務違反が全体の80%を占める

 警察庁交通局が発表した「令和2年中の交通事故の発生状況」によれば、2020年中の高速道路における事故原因トップ5(というかワースト5)は下記のとおりである。

●2020年中の高速道路における事故原因トップ5

1位 前方不注意
2位 動静不注視
3位 安全不確認
4位 運転操作不適
5位 進路変更

 1位の「前方不注意」と5位の「進路変更」は説明するまでもないと思うが、2位から4位については若干の説明が必要かもしれない。

 2位の「動静不注視」というのは、「前方不注意」とやや似ているが、こちらは「見てはいたけど、相手の動きを自分で勝手に判断して、事故を起こした」というもの。「いや僕はちゃんと見てましたよ! でも、まさか前のクルマがブレーキをかけるとは思わず……」みたいな話である。

 3位の「安全不確認」は、一般道においては、右左折や一時停止の場所などで安全確認を怠る行為。高速道路では、合流地点や車線変更などで事故を起こすと、これに当てはめられる場合が多い。

 4位の「運転操作不適」は、それこそ「ハンドル操作の誤り」などのこと。ただしこれは、高齢者や免許取りたての若者以外は、そうそうやるものでもないだろう。

 まぁとにかく高速道路上での事故原因は、警察庁のまとめによれば約45%が「前方不注意」で、約24%が「動静不注視」、そして約12%が「安全不確認」であり、これだけで全体の80%以上を占めているのだ。

 で、肝心の「スピードの出しすぎ」に関しては、「最高速度違反」が全体の約0.8%で、「安全速度違反(制限速度内で走ってはいたが、状況に応じて安全な速度で走行しなかったという違反)」が約1%であるに過ぎないのである。

 そしてこの話の趣旨はもちろん、「だから皆さん、高速道路ではもっとガンガン飛ばしましょうね!」というものではない。

 そうではなく、「速度を出しすぎないっつーのはドライバーの当然の義務として、それと同時に(またはそれ以上に)気をつけるべきポイントは、ほかにもたくさんありますよ!」という話である。

 筆者は約30年にわたるドライバー生活のなかで、幸いにして交通事故を起こしたことも、もらったこともない。

 だが最近は、カーナビやApple CarPlayの画面をちらっと見てる間や、「ええと、飴ちゃんはどこに置いたっけ?」などと一瞬下を向いて探している間に、前方のクルマが実は減速していて「おっと!」となるヒヤリハットの機会が増えている自覚はある。これすなわち、高速道路での事故原因第1位「前方不注意」の予備軍である。

 筆者のヒヤリハットが増えている原因は、昔はなかったカーナビなどの機器の普及のせいか、それとも単純に加齢によるものかは、わからない(まぁ両方なのだろう)。

 いずれにせよ「クルマは凶器にもなる」ということを、ステアリングホイールを握っている間は片時も忘れず、安全運転に励みたいものである。いや、励まねばならないのだ。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

愛車
スバル・レヴォーグ STI Sport EX
趣味
絵画制作
好きな有名人
町田 康

新着情報