プーチン大統領が広告塔! ポルシェエンジンを積んだロシアの超高級車「アウルス セナート」が圧巻のデキだった (1/2ページ)

ロシアの政治的背景やアメ車への憧れが伺える

 先日BSで放送されたロシアのニュースの抜粋版を見ていると、5月31日にロシアの大型ラグジュアリーセダンとなる、“アウルス セナート”の本格生産が始まったと報じていた。ちなみに生産開始の号令はプーチン大統領がリモートで行っていた。

 プーチン大統領“肝煎り”ともいえるアウルス セナートは、国営となるNAMI(中央自動車エンジン研究所)で開発されており、2018年8月に開催された“モスクワモーターショー”会場において、ショーデビューを飾った。ちなみに、プーチン大統領専用車としてセナートのストレッチモデルのような車両が使われているが、これは“コルテジ”と呼ばれる別車種となり、セナートはいわばコルテジの民生版とすればわかりやすく、プーチン大統領はセナートの広告塔のような役割を担っていることになる。

 セナート本格量産に関するニュースの最後には、セナートベースの大型ラグジュアリーSUVのラインアップも予定されているとしていた。

 見た目は英国ブランドの某車を連想してしまうものとなっているが、国営研究所が開発に携わり、プーチン大統領が広告塔になっていることからも、その意気込みはハンパではない。2018年のモスクワモーターショー内に展示されていたセナートの前で会った業界事情通(日本人)は、「セナートの実車をここで初めて間近で見ましたが、塗装の仕上がりレベルはレクサスを軽く超えるレベルとなっており、ロシア側のハンパない“気合い”に驚きました」と語ってくれた。

 エンジンは内燃機関となり、ポルシェが開発したとされる4.4リッターV8ツインターボが搭載されている。ショー会場ではハードカバーで分厚いカタログのようなものが置いてあったが(持ち出し厳禁)、中国語に訳された文章が添えてあり、この手のゴージャス系モデルに目がない中国人民向けにアウルス側が強烈にアピールしている様子がうかがえた。

 昨今は何かと西側諸国との政治対立が目立つロシア。それなのに、プーチン大統領も含め政権幹部は防弾仕様のメルセデス・ベンツに乗っているのはおかしい、ということもあってアウルス誕生につながったようだ。

 政治対立が影響しているかは定かではないが、過去2回(2018年と2016年/2020年は開催延期)は、どちらが仕掛けたかは別として、モーターショー会場への西ヨーロッパやアメリカ、日本メーカーの多くは、一部欧州ブランドを除いて出展を見合わせている。そのためには、アゼルバイジャンのブランドのほか、会場内は中国ブランドばかりで、まるで中国のモーターショーが引っ越してきたかのような状況となっていた。

 ロシアがまだ“ソビエト社会主義共和国連邦”時代の、ソビエト共産党幹部専用車といえば“ジル”が有名。“冷戦”と呼ばれアメリカと激しく政治対立していたものの、当時のキャデラックのような、大きなボディに大排気量V8エンジンを搭載するアメリカ車への憧れがあったようで、見た目はアメリカ車のリムジンに近いものであった。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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