半導体不足だけじゃなかった! 世界最大の産油国を襲った「大寒波」が日本の納期遅延に与える影響とは (2/2ページ)

寒波による産油停止と中国の買い占めで回復には時間がかかる

 というのはニュースでも解説されているので知っている方も多いと思うが、じつはこれだけじゃなかった。まずオイル。アメリカは世界最大の産油国で、テキサスあたりは油田も多く、採れるのは良質なものとされている。こちらも産油が停止してしまった。加えて、世界的にも産業用の需要増大や生産工場がメンテ、輸送コストの増大などいくつもの要因が重なって、オイル業界は材料確保に大慌て。解消にはまだ時間がかかる予定だ。

 さらに意外なのが樹脂でポリアミドと呼ばれる樹脂が不足だ。こちらも世界的に大きな工場がテキサスにあったため、生産が滞ってしまっている。ポリアミドは耐熱性が高くて、今や主流の樹脂製インテークなどのエンジン周辺の樹脂パーツには欠かせない素材なので、これが不足するというのは深刻だ。そのほか、テキサスにはデュポンの工場もあって、こちらはナイロンを生産していたことから、こちらも供給不足だ。

 自動車メーカーはパーツや素材の供給が途切れないように、サプライチェーンを強化していて、東日本大震災などに教訓を得たトヨタは被害最小限にはなっているが、それでもまったくなしではない。原因としてはサプライチェーンとはいえ世界的な広大な規模になっているし、全世界的なコロナの影響は想定外だっただけに、結局、どのメーカーも多かれ少なかれ影響を受けてしまった。オイルのところで紹介したように、寒波が収まっても世界的な需要には応えるのには時間がかかるし、急激に産業が回復している中国が買い占めに走り出しているなど、回復にはまだ時間がかかりそうだ。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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