ハンドルは「丸いもの」は過去の話! 最近上や下が「平ら」なハンドルが増えているワケ (2/2ページ)

レースの世界では非円形が多い!

 もっとも顕著な例は、レーシングカーに見ることができる。とくにGTカー、F1などで見られる形状で、もはやホイール(輪)という言葉が使えないような横方向のバー形状で、両手で握るためわずかに両端が弧を描くグリップ部分となっているだけのステアリングだ。量産車のように、駐車のための大舵角操作が不要、さらに角速度の速いステアリングギアボックスの装着によって左右の操作角がそれぞれ90度にも満たない操作領域(ステアリングの持ち替えが不要な作動領域)で足りることから、視認性やスペース確保のため、弧を描く領域がごくわずかなステアリング形状が採用されている。

 補足しておくと、こうした形状が可能になった背景には、電動パワーステアリングシステムの進化があったことはいうまでもない。

 部分的に真円のない形状のステアリングホイールの不都合(欠点?)は、ステアリングの持ち替えが生じる大舵角領域の操作においてだが、当然ながら大舵角操作は極低速領域のみで生じる動きであり、この場合、持ち替える部分が真円形状でなくても操作感が走行(走行というほどの速度は出ていない)の支障となることはなく、変則形状とすることの影響は皆無と考えてもよいものだ。

 なお、ステアリングホイール径に関しては、以前は保安基準で350mm以上と規定値が定められていたが、現在この数値は見当たらず、常識的な範囲の径であればOKであるようで、社外品と交換した場合、明らかに小径であるものは車検で不合格になる場合もありそうだ。また、ステアリンググリップ径は、握りやすく操作感のよいサイズで設定される例を多く見る。かつてのようにグリップ径が細いステアリングホイールは、現在の車両で目にすることは皆無となっている。

 また、現代の車両では、ステアリングホーイル自体に周辺デバイスのコントロール機能が盛り込まれる例も多く、こうした場合、ステアリングの交換で車両が動かなくなる可能性もある。また、こうした機能がないステアリングでも、現在の車両はエアバッグが内蔵されており、換装するとエアバッグ機能がなくなるほか、エアバッグインジケーターの誤作動によって車両が正常に機能しなくなる場合もある。エアバッグがなくなることは自己責任として、車両を正常に機能させるためには、エアバッグ対応のステアリングボスを選んでおくこともお忘れなく。

 ステアリングホイールの形状は、装着する車両の性格(レーシングカー、とくに軽車重のフォーミュラから量産車まで)によって捉え方が変わり、それぞれがどのような運転領域で使われるかによって最適な形状が決まってくる、と考えてよいものだ。


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