ドレスアップタイヤなのに圧巻の走行性能! ヨコハマ「AVIDエンビガー」に中谷明彦が驚かされる (2/3ページ)

コンフォート性と直進安定性、操安性が高く同乗者も納得

 この「AVIDエンビガー」を装着したCX-5に乗り、クルマを動かすとタイヤの最初のひと転がりでしなやかな乗り心地の良さを体感することができた。路面の段差や継ぎ目などハーシュの大きく起こりそうな場面でもハーシュは小さく抑えられ、不快感が極めて少ない。コンフォート性に非常に優れていることがすぐにわかるのだ。

 車速を上げていくと直進安定性にも優れていることがステアリングの補舵力を通じて感じ取ることができる。路面のうねりや轍など、アンジュレーションがあってもステアリングに対する反力は小さく、センタリングが落ち着いていて手応えが感じ取れる。

 専門的にはワンダリング性能に優れていると言え、そうした路面の段差に大きな影響を受けないのは乗用車用タイヤとして非常に好ましい。運転の疲労を軽減し、また車体姿勢を安定化させてくれるので安心して運転するができるのだ。街中の交差点や高速道路のコーナー区間でもステアリングの追従性が極めてナチュラルで応答性がニュートラルである。

 ステアリング操作に過剰に反応することがなく、切った分だけ正確にラインをトレースしてくれるので、それだけでも安心感が高い。タイヤの構造、いわゆるケーシングの剛性がしなやかで、常に路面を正確に捉え一定面積でエンベロープして包み込んでくれているので、操舵力や補舵力の変化が少ないのだ。

 実際20インチという超扁平レシオのタイヤではタイヤと路面の衝撃がホイールを通じてダイレクトに車体に通じてきやすくなるものだが、「AVIDエンビガー」はその衝撃を緩和しつつ穏やかに収束させ、不快な部分を取り除いて車体へと伝えてくれる。街中や高速道路など日常生活の友としては非常に扱いやすい特性であり、乗用車に快適な乗り心地、静かなロードノイズは同乗者にも高評価を得ることだろう。

 ウエット性能は今回試すことができなかったが、最新のシリカ混入技術がフルに採用されており、シリカはウエットでの水吸着性に優れることから相当なウエットグリップが与えられていると期待できる。

 ハイドロプレーンなど大雨で水深の深い場面ではトレッドパターンデザインのランドシー比がものをいう。そういう面ではよりブロックも大きくグループ(掘り込み)の深い「パラダ」のほうがハイドロプレーン性能は高いといえるだろうが、パターンノイズや日常生活速度、通常の常用速度など考慮すると、「AVIDエンビガー」は相当ハイスコアなタイヤとして完成させられていると言えるだろう。

 これほどの高性能な「AVIDエンビガー」がかなり格安な価格設定で購入できるということはSUVユーザーにとっては朗報であるにちがいない。とくに悪路や砂利道などを日常生活の範囲にない都会派SUVユーザーにおいては、「AVIDエンビガー」の性能とキャラクター、価格設定は待ち望まれていたものであり、このタイヤに着目しない理由は見当たらない。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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