かつて「0.1km/L」の差をアピールしたクルマの「燃費競争」! 最近目立たなくなった理由とは (2/2ページ)

現時点でもっとも燃費が優れているのはコンパクトカーのHV

 それでも燃費の優れた車種と悪い車種は残る。現時点で燃費の優れているカテゴリーは、コンパクトカーのハイブリッド車だ。

 その代表はヤリスハイブリッドXで、WLTCモード燃費は36km/Lに達する。レギュラーガソリンの価格が1リットル当たり150円とすれば(今は160円近いが150円で計算)、1km走行当たりの燃料代は4.2円だ。国内で購入可能な乗用車では、最良の燃費性能を達成した。

 ハイブリッド以外では、コンパクトカーにクリーンディーゼルターボを搭載するマツダ2・XDプロアクティブの6速MT仕様は25.2km/Lだ。軽油価格が1リットル当たり130円とすれば、1km当たりの燃料代は5.2円だ。ヤリスハイブリッドよりも1円高いが、実用回転域の駆動力も力強い。1万km当たり1万円でこの動力性能が手に入るなら、むしろマツダ2が割安という見方もできる。

 軽自動車ではアルトSが25.8km/Lだ。1km当たりの燃料代は5.8円になる。ミライースも25km/Lだから、若干アルトを下まわる程度だ。

 逆に燃費性能の悪い車種は、重量級の悪路向けSUVや動力性能を突き詰めたLサイズのスポーツカーになる。もっとも悪いのはレクサスLX。乗用車では最大のV型8気筒5.7リッターエンジンを搭載して、車両重量は悪路向けのSUVらしく3列シート仕様は2730kgと重い。WLTCモード燃費は6.6km/Lだから、プレミアムガソリン価格が1リットル当たり160円とすれば、1km当たりの燃料代は24円になる。数値上の燃料代は、ヤリスハイブリッド6台分だ。

 高性能スポーツカーのGT-Rは7.8km/L。これもプレミアムガソリンを使うので、1km当たりの燃料代は21円になる。こういった燃費の悪いクルマは、遠くない将来に消え去る運命にあるから、楽しむなら今のうちだろう。実際、ランドクルーザーの次期型は、V型8気筒を廃止して、V型6気筒のガソリンターボとクリーンディーゼルターボになる。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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