日産の名車「シルビア」の凄さを振り返る (1/2ページ)

日産を代表するスポーツカーでありデートカーだった

 日産シルビアと言えば、カーマニアにはお馴染みのFRスポーツだ。主にスポーツカー好きの間で話題に出るのは、1988年に登場したS13と呼ばれる5代目以降のモデルからだが、シルビアの歴史は古く、初代は1965年に登場したCSP311からだ。今回は、日産のスポーツカー史を語る上で欠かせない存在のシルビアについて振り返る。

シルビアはなにが凄かったのか

 前途に挙げた通り、シルビアの歴史は長く、初代モデルは1965年に登場している。そこから、生産終了の2002年までに37年もの間、名前を変えることなく販売されていたことから、いかに愛されていたクルマだったか、想像できるはずだ。では、各モデルを振り返る前に、シルビアという名前の由来について少し説明しようと思う。シルビアというのは、ギリシャ神話に登場する「シルヴィア」からきており、狩りと貞節を司るギリシャの女神ディアナに仕えるニンフ(下級女神)の名前だ。語源はラテン語で「森」という意味も持っている。これがシルビアの由来だ。

1)初代シルビア(CSP311)

 1964年に登場した初代シルビアがこのCSP311型だ。ダットサン・フェアレディのシャーシに1600ccのOHVエンジンを搭載したクーペモデルで、日産初のフロントディスクブレーキの採用や4速フルシンクロミッションを搭載。

 クリスプカットと呼ばれる美しいデザインも特徴的で「宝石のカット」とまで呼ばれた。ボディの仕上げもつなぎ目のない職人技によって仕上げられる。広い視界やシートベルトも標準装備とされており、安全性も高かった。しかし、当時としては高額な120万円というプライスで、3年間しか販売されなかった。なお、国内初のスポーツカー型のパトカーとして神奈川県警に2台採用された実績もある。エンジンはどちらも1.8リッター仕様だった。

2)2代目シルビア(S10)

 S10型となった2代目シルビアは、「ニューシルビア」と呼ばれたモデルで、エンブレムに「NEW」の3文字が光ったモデル。リヤクォーターなどの特徴的なデザインが由来して「ハマグリ」という愛称で親しまれた。

 プラットフォームはB210型サニーで、フロントがストラット、リヤがリーフリジットサスペンションだった。初代から受け継いだ点はなく、完全にオリジナルだ。エンジンはL型エンジンで、排気量は1800cc。モデル末期には専用シートやボディ同色ミラーを採用した限定車「セレクトモデル」も導入されていた。なお、北米では受け入れられたものの、日本国内では月産2000台程度ということもあり、ライバルであったトヨタ・セリカには敵わなかった。

 ちなみにこのS10シルビアは、ロータリーエンジン搭載モデルとして市場に出る予定で、販売間近だったというモデルでもあるが、オイルショックによってその計画は幻となった。

3)3台目シルビア(S110)

 1979年に登場した3代目シルビアは、B310サニーなどと同じプラットフォームを採用して登場した。ボディは、ハードトップと呼ばれたノッチバッククーペスタイルや、3ドアファストバックを設定していた。日本初のシングルアームワイパーが全グレードに標準装備されていたり、角形4灯式ヘッドライトの採用、ハードトップモデルにはセンターピラーレス化を果たすなど、当時の流行を抑えたこともあり、月産4000台以上のヒット作となった。

 エンジンは1.8リッター直4モデルをはじめ、R30スカイラインに採用されたFJ20Eを搭載したスポーツモデル、RS/RSエクストラも追加された。また、第30回サファリラリーではグループ4仕様のシルビアが総合3位に輝くなど、販売面以外でも活躍した。なお、グループB仕様のホモロゲモデルとして、FJ24型エンジンを搭載した日産240RSも200台ほど販売されている。主に左ハンドル仕様だったが、数台右ハンドル仕様として日本国内でも販売されていたというが、販売台数などは不明の幻のマシンだ。

 ちなみに、当時日本で人気のあったレース「スーパーシルエット・フォーミュラ」に参戦したのはこのモデルからだ。

4)4代目シルビア(S12)

 1983年に登場したS12シルビアは、初代から比べるとかなりスポーツカー色の強いモデルとなっている。また、シリーズでは唯一のリトラクタブルヘッドライトを採用しているのも特徴的だ。ボディは2ドアノッチバックと3ドアハッチバックの2タイプ。

 エンジンにはCA18型の1800ccの直4モデルが3種類と、ターボエンジンとNAエンジンのFJ20型を採用した2タイプがラインアップされていた。なお、空冷インタークーラーを備えた205馬力仕様もごく少量生産されている。これらは試作車のような扱いだったが、一部が一般に流通したと言われている。

 なお、FJ20搭載モデルは、1986年にマイナーチェンジをした際に廃止され、全車CA18型エンジンを搭載するモデルとなった。国内での販売台数は約3万台だ。

 ちなみに、S12シルビアは、S110同様にスーパーシルエットフォーミュラにも参戦していたほか、WRCのグループAカテゴリーにも参戦していた経歴がある。


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