アオられてないのに思わず避けちゃうオラオラ感! 自動車史上に残る「超」強面クルマ4選 (1/2ページ)

1度見たら忘れられないオラオラ顔のクルマたちを振り返る

 それが良いことなのか悪いことなのかの価値判断は、日本国首相のように「差し控えさせていただきたい」が、「オラオラ顔」こそが自動車デザインの一大トレンドであることは、もう間違いないだろう。

 カーマニアからは大不評のトヨタ アルファードが売れまくり、小さな軽自動車たちもアルファードにつられて(?)オラオラ寄りの顔に変化。海の向こうではBMW 4シリーズも、巨大なキドニーグリルでもって「Ora Ora!」とbedrohen(威嚇)している。好き嫌いはあるだろうが、これはもう「トレンド」なので、どうすることもできないのだ。

 で、「そんなアルファードがかわいく見える強面グルマを探せ」というのが今週の筆者に課せられたミッションなわけだが、「強面」というのを「オラオラ顔」と解釈するならば、アルファードに勝るクルマはほとんどない。

「世界オラオラ顔選手権」の優勝者はトヨタ アルファードであり、準優勝は三菱 デリカD:5でたぶん決まりだ。BMW 4シリーズなど、アルファード&デリカD:5連合の敵ではない。

 だが「強面」という言葉を、本来の意味とは少し変えて「静かな怖さ」みたいなものとしてとらえるならば、アルファード&デリカD:5連合軍以外のクルマにも勝機は生まれるかもしれない。

1)オーテック ザガート ステルビオ

 たとえばオーテック ザガート ステルビオだ。

 オーテック ザガート ステルビオは、イタリアのザガートと、故・桜井眞一郎氏が初代社長を務めたオーテックジャパンとの、バブル期ならではの奇跡のコラボレーションが生んだ200台の限定車(※日本仕様は100台)。

 2代目日産 レパード(F31)のシャシーに、ザガートがデザインしたアルミ製ボディとカーボンファイバー製ボンネットを載せ、内装は総革張り。搭載エンジンはVG30DET改の3リッターV6ターボで、最高出力は280馬力であった……なんてスペックよりも、この限定車の場合は「強烈すぎる顔面」にこそ注目したいものだ。

 フロントマスクそのものはさほど強面ではないのだが、フェンダーミラーと一体になった、モリモリと盛り上がったボンネットが作り上げるフロントセクション全体の造形は、まるで悪夢に出てくる怪人の顔のよう。これと比べれば、見方によっては美しい造形であるアルファードのフロントグリルも「かわいく見える」可能性は十分あるだろう。

2)アルファロメオSZ/RZ

 オーテック ザガート ステルビオが「怪人系」の強面だとするならば、「能面系」の恐ろしさを感じるフロントフェイスを有しているのが、アルファロメオ SZおよびRZだ。

  

 アルファロメオ SZは、1986年にアルファロメオを傘下に収めたフィアットが、ブランドイメージ向上のためにザガートとのコラボしたモデル。ベースとなったのはアルファロメオ75で、フィアットのチェントロ・スティーレが出した原案を、アルファロメオのチェントロ・スティーレとザガートが協力する形で仕上げたという。

 なお「チェントロ・スティーレ」とは、フィアット社とアルファロメオ社に同時期に在籍していた、同姓同名の2名のイタリア人……ではなく「デザインセンター」のイタリア語である――なんて余談はどうでもいいとして、SZ(と、そのオープン版であるRZ)の、分厚い平面のなかに細い眼がキラリと光るフロントマスクは、ご当地では「イル・モストロ(イタリア語で怪人。要するにThe Monster)」と呼ばれたらしい。

 だが日本人である筆者には「能面」に見える強面というか、「能面的な怖さ」を感じる顔だ。この能面フェイスのなかにある角型3連ヘッドライト(の一番内側のライト)でもってパッシングをカマされたら、オラオラ顔のアルファードに煽られるよりも恐怖を感じると思う。

 とはいえ、ここまでは正規モデルのことだけを考えながら「強面グルマ」の選定を進めてきたのだが、日本では売られていないモデルも含めれば、トヨタ アルファードを上まわる「純粋オラオラ顔」も見つかるかもしれないことに(今さら)気がついた。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

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