イケてるのに「映え」ない! 「生」で見れば「ベタ惚れ」必至のクルマ5選 (2/2ページ)

発表時はいろいろ言われても販売台数で汚名返上!

3)ホンダ・ヴェゼル

 3台目は、コンパクトSUVブームの先駆け的存在の初代から、2021年にフルモデルチェンジしたホンダ・ヴェゼル。初代がモデル末期でもそこそこ売れていたほどの人気モデルだけに、その新型のデザインには大きな注目が集まりました。そして登場したのは、なんと斬新な「グリルレス」デザイン。ワールドプレミアがオンラインで行われると、ネット上は騒然となり、「前がマ○ダで後ろがハ○アー」なんてコメントまで飛び交ったほどでした。

 でもその後、ディーラーに展示車が配置されると、「思ってたよりぜんぜんカッコよかった」「実車はCX-5にまったく似てなかった」といった反応がどんどんSNSで発信されるように。というのも、「グリルレス」とはいうものの実際にはグリルのフレームがないというだけで、シンプルながらモダンで凝ったデザインのグリルがとても素敵だし、これからの時代のSUVという新しさが感じられることや、堂々として見えることも好評の理由となったのでした。

 しかも、このフロントグリルがどうしても苦手という人には、ホンダアクセスから従来のようなメッキフレームのあるフロントグリルも純正パーツとして用意されているので、そちらを装着してみてはいかがでしょうか。

4)トヨタ・ハリアー

 4台目は日本発のラグジュラリーSUVの元祖とも言える、トヨタ・ハリアー。一説には、婚活中の女性の母親が、「相手の男性が乗っていたら好印象なクルマ」に挙げる筆頭が、このハリアーなんだとか。それくらい、「ハリアー=高学歴・高収入な男性が乗るクルマ」というイメージが浸透しているということで、そのネームバリューってすごいですよね。2020年にフルモデルチェンジした新型ハリアーも、販売台数的にはSUV部門でヴェゼルに次ぐ2位ということで健闘しているんですが、写真で見ると今ひとつ存在感を発揮しきれていないようです。

 初代からハリアーは、SUVにしては都会的で流麗なフォルムが特徴で、新型もその流れを受け継いでより先進的にモダンに進化したクーペ+SUVのフォルムがとても素敵なんですが、ひとつには時代の流れで、ハリアー以外のSUVもこぞってそうしたクーペフォルムを取り入れてきたために、特別感や新鮮さが薄まってしまったことが挙げられると思います。とくに、輸入ブランド勢のSUVに優美でゴージャスなデザインが増えたことが大きいですよね。写真だと余計に、ほかとの区別がつきにくいかもしれません。

 だからハリアーの実車を目の前にすると、「こんなに上品でカッコいいんだ」と惚れ惚れするほどです。サイドからのシルエットも特徴的で、フロントからリアへと水滴をモチーフとしたティアドロップ形状がとてもキレイ。昔も今も、ホテルのエントランスにつけても似合う、希少なSUVと言えると思います。

5)ポルシェ・タイカン

 5台目はポルシェもついに! と話題になりました、フル電動スポーツカーのタイカン。デザインはやはり「911」のDNAを継承しているとあって、ポルシェらしさはしっかりあるし、いかにも速そうだし、写真で見ただけでももちろんカッコイイんです。が、実車のオーラというか、迫力というか、これまでのスポーツカーよりスポーツカーらしさが濃いデザインは、想像をはるかに超えてくるではないですか。

 フロントマスクでは、不要となったラジエターグリルに代わって特徴的なエアインテークが出現しているし、テールパイプがなくなったリヤには先進的なディフューザーがアート作品のように配置されているし、全体を見ても細かいパーツを見ても、1つ1つがポルシェらしいけどまったく新しいという、不思議な感覚に。

 ちょっとパナメーラのようでもあり、でも911のようでもあり、どこかにカイエンの面影を感じてみたり。タイカンの実車は、見れば見るほど心を掴まれるデザインではないでしょうか。

 ということで、単に写真映りがよくないというだけでなく、写真では表現しきれない魅力があったり、実車だと本物感やオーラといった、人間が五感で感じる魅力がプラスされたり。いろんな理由で写真より実車の方がぜんぜんいいクルマたちをご紹介しました。ネットで情報収集するのはとても便利ですが、ときには販売店などに実車を見に行って欲しいと思います。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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