高すぎる値段! コロナも直撃! JPNタクシーが「日本の風景」になれない事情 (2/2ページ)

コロナウイルスの蔓延が大きく影響

「そもそも都市部の事業者の車庫では立体駐車場が多いのですが、JPNタクシーは立体駐車場に入りません。ベース車両のシエンタはプライベートカーとして開発されていることもあり、マンションなどの立体駐車場の利用も多いので、立体駐車場に入ります。さらに、LPガスも使えるように改造しても、ガソリンタンクも残るので、ハイブリッドなら“トリプルハイブリッド”になります。もろもろタクシー車両としての改造を施しても、JPNタクシーより数十万円も安上がりとなるので人気が高いです」とは業界事情通。日産ではノートとセレナをタクシー車両としてプッシュしているとのことである。

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 コロナ禍のいまでは、事業者の多くでは、稼働台数を保有台数の半分ほどに抑えて営業を続けている。しかし、それでも首都圏などでは緊急事態宣言がほぼ1年を通じて発出されており、飲食店の営業自粛など行動自粛要請が続いているため、稼ぎが激減しているのが実状。稼働台数が少ないので、当然各運転士の出番も少なめとなっている。

 それでもすでに年金を受け取っている高齢運転士は雇用調整助成金の支給もあるのと、新型コロナウイルスへの感染も怖いとのことで休むケースも多いと聞く。そのなか長引くコロナ禍、デルタ株のまん延などもあり、離職する運転士も後を絶たないとのこと。コロナ禍前では、離職しても、ほかのタクシー会社へ再就職したり、トラックドライバーになるなど、ステアリングを握る仕事を続けるケースが一般的であったが、コロナ禍では、旅客、貨物に関係なく運送業から離れるひとが多いとのことだ。

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 JPNタクシーは前席と後席の間の空間が広すぎるため、新型コロナウイルス感染拡大予防策としての間仕切りのための透明ビニールなどの設置に消極的な事業者も目立つ(クラウン系のタクシーでも感染予防策への取り組みには温度差がある)。このあたりもWITHコロナ時代を見据え、改良などでニューヨークのようにナイフも通さないように鉄板の入ったもので完全に仕切らないまでも、根本的な対策をメーカーとして提案すべきではないかとも考える。細かいところでは車内換気が推奨されているのだから、運転席側後部ドアの窓ガラスも埋め込みではなく開閉タイプにして欲しいところである。

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 デビュー直後から、全国のタクシー事業者のなかには、さまざまな理由から“アンチJPNタクシー派”も目立ち、そのような地域では都市の大きさに対し、JPNタクシーを見かける機会が極端に少ないことが多い。

 そしてJPNタクシーの普及に弾みがつく原動力になるともいわれていた、東京2020(オリンピック&パラリンピック)も、なんとか開催にはこぎつけたものの、海外からの観客どころか、国内の観客もほとんどの会場で入れない“無観客開催”となりアテが外れてしまった。

 シエンタベースなので、ガソリンハイブリッドを搭載した、“民生版”のようなものを出したとしても、積載スペースも後席をそのままにすれば、荷室も含めた全体の使い勝手はクラウンコンフォートとたいして変わらないなど、突出した使い勝手の良さも少ない。背が高く、上級グレードならばサーキュレーターがついているので、酷暑の時には涼しい風がきやすいこと、後席足もと空間が広いので、それほど大きくないスーツケースなら後席に持ち込めること程度が「便利だ」と感じることとなっている。

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 燃費性能が大幅に向上したことは一見すると大きなメリットにも見えるが、東京都内ではLPガススタンドの利用が減り、需要が多いとされる都心近くのスタンドも廃業しており、燃費の良さを無条件でメリットと呼んでいいかは微妙なところとなっている。

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 現行シエンタは2015年にデビューしているので、そろそろフルモデルチェンジしてもおかしくない時期に差し掛かっている。現行モデルは日本だけでなくASEAN各国で大ヒットしている。次期型もそのようなASEAN市場の動きを加味し、タクシー車両としての利便性を意識したわけではなくても、結果的にタクシーとしてより使いやすくなってしまう可能性は高い。JPNタクシーは今後どのように浮上しようとしているのか、ニューノーマル時代となっても厳しい環境が続きそうである。

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