数値が小さくても「運動性能」に優れるわけじゃなかった! クルマ好きが大事にする「パワーウェイトレシオ」の落とし穴 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■パワーウェイトレシオは車両重量を最高出力で割ったクルマの性能を示す一つの指標

■パワーウェイトレシオが優れている方が動力性能も優れているとは限らない

■トルクウェイトレシオに優れるEVだが総合的な運動性能面ではガソリン車には敵わない

F1マシンのパワーウェイトレシオは1kg/馬力を下まわっている

 クルマの性能を示すひとつの指標として「パワーウェイトレシオ」がある。そのクルマの車重を最高出力で割った値(車重÷馬力)で示され、例えば車重1000kgのクルマに100馬力のエンジンが搭載されていたら、パワーウェイトレシオは10kg/馬力となる。同じ車重のまま馬力が200馬力に高まれば、同値は5kg/馬力となり、また同じ馬力のまま車重が1500kgに増えれば同値は15kg/馬力となる。つまり、パワーウェイトレシオは、その数値が小さいほど1馬力当たりの負担重量が軽くなるわけだ。

 それはとくに動力性能面で有利に作用する。ゼロ発進加速性能などを検証する場合、パワーウェイトレシオが小さいほうが、加速性に優れると判断できるからだ。

 このことからパワーウェイトレシオを好数値にするにはふたつの手段があることがわかる。車重を軽くするか、馬力を高めるかだ。その両方が果たせれば数値は劇的に向上する。

 たとえばランボルギーニ・アヴェンタドールの場合、最高出力は740馬力、車両重量も高価なカーボン素材の多用による軽量化によって市販状態で1575kgほどとなっている。そこからパワーウェイトレシオ値を求めれば1575kg÷740馬力=2.1kg/馬力となる。

 さらに世界最速のF1マシンをみれば、車両重量650kgに最高1000馬力のパワーユニットを搭載している。そのパワーウェイトレシオ値は単純計算で0.65kg/馬力となり、1kgを下まわっている。いかに強力な動力性能を誇っているかを知るには十分な指標になっているといえるだろう。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

新着情報