スポーツモデルがヤリスやN-BOX並に売れた時代があった! かつてバカ売れした「2ドアクーペ」3台と「衝撃」の数字 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■そもそも30年前はいまより新車販売台数が多かった

■登録車に限れば現在の2倍の数字

■1990年に今考えると驚異的な売れ行きを達成したスポーツモデル3台を紹介する

月販台数が衝撃の1万台超え!

 今はクルマの売れ行きが下がり、とくに2ドアと3ドアのクーペは大きく落ち込んだ。しかし30年ほど前は、状況がまったく違っていた。

 まずクルマの売れ行きが圧倒的に多かった。2020年の国内販売台数は約460万台だが、国内販売がピークに達した1990年は778万台だ。今の1.7倍もクルマが売れていた。今日の販売実績は、コロナ禍の影響を差し引いて考える必要はあるが、それでも販売格差が激しい。

 軽自動車の販売比率も変わった。2020年は国内で新車として売られたクルマの37%を軽自動車が占めたが、1990年は23%と少ない。そのために小型/普通車に限れば、1990年の売れ行きは2020年の2倍であった。

 そして当時は、2ドア/3ドアクーペの売れ行きも圧倒的に多い。1990年3月におけるクーペのベストセラー3車を挙げてみたい。

1位:日産シルビア(5代目)
1990年3月の登録台数:約1万1500台

 1990年当時、絶好調に売れたクーペがS13型5代目シルビアだ。1990年3月の登録台数は約1万1500台だから、2021年3月に当てはめるとトヨタライズと同程度になる。

 一番の魅力は外観だった。当時の私は自動車雑誌の編集を手掛けており、箱根で開催された5代目シルビアの報道試乗会に出かけた。早朝にシルビアを借り出し、駐車場にとめると、ローアングルでカメラを構えた。ファインダーの中のシルビアは、朝日の斜光を浴びながらライムグリーンのボディを輝かせ、息を呑むほど美しかった。

 5ナンバーサイズのクーペボディは、後輪駆動の採用で前後輪の重量バランスも優れている。街なかを普通に走るだけでも、車両との一体感を味わえて運転が楽しく感じた。

 最近は「クーペが売れない」といわれるが、その原因はユーザーのクルマ離れではなく、シルビアのような無理をせずに購入できる美しくて楽しいクーペが減ったからだと思う。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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